総務省「解除料1,000円以下」「端末割引上限2万円」「長期契約優遇規制」を提案
6月18日に開催された有識者会議で総務省は、2019年秋から携帯電話の契約解除料の上限を1,000円とし、端末代金の割引上限を2万円に制限するほか、長期契約者への優遇禁止などを含む方針を提示しました。
「解除料1,000円」の算出根拠には疑問の声も
総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」と「ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの検証に関するワーキンググループ」の合同会合が、6月18日に開催されました。
6月11日に非公開で開催された前回の会議で総務省は、契約の解除料を現在の9,500円から1,000円以下に制限する方針を提示して話題となりました。
この1,000円という金額の根拠として総務省は、5月27日〜30日にインターネットで実施したWebアンケートの結果(回答数6,000名)と説明しています。
18日の会議で示された調査結果では、「(違約金や各種割引を考慮せずに)現在契約している携帯電話会社から乗り換えたいと思いますか」への回答は、「乗り換えたいとは思わない」(52.6%)、「乗り換えを検討してもよい」(37.6%)、「乗り換えたい」(9.9%)の順で多くなっています。
そして、「乗り換えを検討してもよい」または「乗り換えたい」と回答した人(2,847人)のうち、「違約金なしで解約できるまで待つ」と回答した1,089人を除いた、違約金を払ってでも乗り換えたいという1,758人(全体の29.3%)を対象に聞いた、「許容できる違約金の額」の8割を超える金額が1,000円以下だった、とのことです。
また、期間拘束の有無で基本料金に差をつける上限を、現在の月額1,500円から、月額170円に制限する、としています。
ただし、ケータイwatchによると、金額の算出方法の妥当性や、スイッチングコストを引き下げることの影響については、有識者から疑問が投げかけられた、とのことです。
端末代金の値引きは上限2万円
端末代金の値引きは、通信契約を条件とした割引やキャッシュバックを禁止する方針を維持しながら、上限を2万円としています。
2万円の上限は、キャリアによる割引と代理店による割引の総額です。ただし、24カ月以上の在庫端末や、製造中止端末で入荷から12カ月以上経過した端末などは例外となります。
疑問の残る「割引上限は2万円」の根拠
総務省は「2万円」という金額の算出根拠について、各社の利用者1人あたりのARPU(月間平均収入)4,360円に、平均利益率(20.8%)と、平均利用期間(34カ月)を掛けて算出した「利用者1人あたりの利益見込み額」は3万円となり、「競争を促進するために、値引き額の上限をより制限する」として「3万円より1段階低い2万円」に設定した、と説明しています。
18日の会議では「1段階が1万円の根拠」などについて、疑問の声もあがったとのことです。
長期契約者への優遇、契約の自動更新も規制
長期契約者への優遇は、「契約の解除を妨げる」として、上限を「1カ月分の料金まで」としています。
このほか、利用者に選択の余地のない契約の自動更新についても制限する方針が提示されています。
有識者会議の次回以降の開催日程や、広く国民から意見を受け付けるパブリックコメントなどの実施予定については、情報が公開されていません。
Source:総務省, ケータイwatch, ITmedia, 日本経済新聞
(hato)