Appleのサプライヤー数、中国が米国を初めて逆転

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米中貿易摩擦でもなかなか“脱中国”というわけには行かないようです。Appleと提携する中国サプライヤーが、初めて米国サプライヤーを数で上回ったことが明らかとなりました。

年々増大する中国の影響力

Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は昨年「人びとは(iPhoneの)最終的な組立地が中国である点にばかり注目する。しかし、実際は“世界”だ」と述べ、部品を供給するサプライヤーが中国に留まらないことを強調しました。

例えば、iPhoneのディスプレイガラスはケンタッキー州から来ている。チップは米国内のあちこちで作られる。iPhoneを組み立てるための設備もそうだ。iPhone Xに搭載されたFaceIDのモジュールはテキサスで作られる。施設も色々な場所に建設されている。

しかしNikkei Asian Reviewによると、Appleは以前より中国や香港を拠点とするサプライヤーに依存しつつあるようです。2018年、Appleと提携する上位200のサプライヤーのうち、中国サプライヤー(香港を含む)の数は41となり、米国の37を上回りました。中国が米国を上回るのは、2011年以来初めてのことです。
 
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41という数が2012年の約3倍となることからも、いかに中国の存在感がここ数年で急速に強まったかが分かるというものでしょう。なお、台湾は46、日本は38となり、200のうち87、約43.5%を、俗に言う「大中華圏(グレーター・チャイナ:中国本土・香港・台湾の総称)」が占めていることになります。
 
またサプライヤー全体の生産施設の数も、合計809のうち中国サプライヤーだけで380と、半数近くを中国が占めていることが分かります。
 
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今後も同じようにはいかないかも?

とはいえ、米中貿易摩擦の緊張が今後も一層高まるようなことがあれば、同じ傾向が続くかどうかは分かりません。
 
アナリストの間でも見方は分かれており、Citi Researchのコウタ・エザワ氏は「たとえサプライヤーの技術革新が続いたとしても、米国企業の中国からの部品調達増大を貿易戦争が押し留める可能性がある」と話します。コストがあまりにも高くなると、中国よりも他の国から調達したほうがメリットが大きくなるためです。
 
一方でTaiwan Institute of Economic Researchのチウ氏は、iPhoneが関税リストに未だ含まれていないことや摩擦の解決期待があることなどを踏まえ「サプライヤーは中国の外に出ていくことを喫緊の課題だと感じていない」と分析します。サプライヤーにとっても生産拠点を中国国外に置くことは多大なコストを必要とするというわけです。
 
ただ、FoxconnとPegatronといった体力のある巨大サプライヤーは、貿易摩擦や人員コストの増大などを理由として、中国以外での生産を強化する方針を固めつつあるようです。
 
 
Source:Nikkei Asian Review,Recode
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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