iPhone Xの画面は見るべからず〜捜査でのロック解除失敗回避のため

Apple iPhone X Face ID

Apple iPhone X Face ID
 
米連邦捜査局(FBI)は今年8月、捜査に必要な証拠を得るために、容疑者に対しiPhone Xでの顔認証を使ったロック解除を強制していたことが明らかになりました。一部ではこれで警察はiPhoneを簡単にロック解除できるようになるのではないか、との憶測が浮上しましたが、そう簡単にことは運ばないようです。

5回認証に失敗するとパスコード入力を要求

Face ID、そして指紋認証のTouch IDも同様ですが、5回認証に失敗するとパスコード入力を要求されるため、ロック解除は非常に難しくなってしまいます。
 
そのため捜査機関内では「iPhone Xのスクリーンは見ないように」と通知されているとのことです。捜査官が一度でも画面を見てしまい、Face IDが動作して認証に失敗すると、顔認証をできるチャンスが1回減るからです。
 
モバイル機器の科学捜査を専門とする企業Elcomsoftから米メディアMotherboardが入手した資料には、その旨が明記されていました。また資料には顔認証に失敗してパスコード入力が求められた例として、2017年9月のiPhone発表イベントにおける、ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏のFace IDデモが挙げられていたとのことです。
 
フェデリギ上級副社長はFace IDでiPhone Xのロック解除を試みたものの失敗、パスコード入力を求められたのでした。

警察は指紋認証や顔認証は強要できるが…

米国においては、米国憲法修正第5条に基づく自己負罪拒否特権(自分にって不利益な供述を強要されない権利)により、容疑者はパスコードの提供を拒否することができます。しかし顔や指紋などの身体の一部はパスコードのような知識と異なるため、先述のFBIの捜査のように、顔認証を強要するのは問題がないとみなされています。
 
しかし、5回失敗すればパスコードの入力が必要になるため、「これで警察は簡単に容疑者のiPhoneをロック解除可能になった」とはいえないようです。
 
iPhoneのロック解除については、米GrayShiftが「GrayKey」というツールを開発、すでに米司法省やFBIなどの政府機関に納品したと報じられています。

 
 
Source:Motherboard
(lunatic)

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この記事を書いた人

元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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