T2チップ搭載の新MacBook Proなど、サードパーティ修理で“文鎮化”仕様に

Apple MacBook Pro 2018

Apple MacBook Pro 2018
 
Appleが独自開発したT2チップを内蔵するMacBook Pro 2018とiMac Proでは、サードパーティによる修理を防ぐため、特殊なソフトウェア制御がかけられることが分かりました。

セキュリティ強化が背景に

Appleのソフトウェア制御に関する情報は、ニュースサイトMOTHERBOARDが独自に入手した、認定業者向けの内部文書から発覚しました。MacBook Pro 2018が発売されたのは2018年7月、iMac Proは2017年12月ですが、ポリシー変更が伝えられたのは先月末だそうです。
 
この新仕様によって、T2チップを搭載している両デバイスは、対象となる基盤などの部品を交換すると、自動でソフトウェアロックがかかり使用できなくなります。この“文鎮化”を解除するには、Apple Storeや認定業者に配布されている修理プログラム「Apple Service Toolkit 2」を経由しなくてはなりません。
 
もともと各コントローラの統合目的で設計されたT2チップですが、暗号化されたストレージとセキュアブート機能の基盤となる「Secure Enclave コプロセッサ」を組み込んでおり、ソフトウェア面からセキュリティ向上に大きく寄与しています。
 
したがって今回の新仕様も、ユーザーが意図せぬトラブルに巻き込まれないよう、セキュリティ上の懸念から実装されたものだと考えられます。

様々な問題を生む可能性も

しかし、デバイスに手を加えられるのがAppleや一部の認定業者に限定されるという仕様は、様々な問題を新たに引き起こすことになります。
 
例えばMacBook Pro 2018やiMac Proが、製造中止から5年以上経過することで、原則としてAppleの修理サービス対象から外れる「ビンテージ製品」カテゴリ(7年以上は「オブソリート製品」)に加えられた場合、その時点でユーザーはハードウェアを修繕する手立てを失います。
 
また、近年アメリカで法制定の動きが強まっている「修理する権利(Right to Repair)」とも、全面的に衝突することになるでしょう。いかにしてセキュリティ強化とコントロール強化のバランスをとるかが、Appleにとって当面の課題となりそうです。
 
 
Source:MOTHERBOARD
(kihachi)

この記事がお役に立ったらシェアお願いします

この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

特集

目次