iPhone価格が最大で20%上昇か〜トランプ大統領に従って米国で生産なら

フリー素材 ドナルド トランプ flickr

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投資銀行Bank of America Merrill Lynch(以下Bank of America)は、仮にトランプ大統領の言う通りにiPhoneを米国で製造した場合、本来の価格よりも20%ほどの値上げを強いられる可能性もあると指摘しました。

生産ラインを完全に移動すれば20%上昇

2,000億ドル(約22兆円)規模の対中関税に反対する書簡を、Apple米国通商代表部(USTR)宛に送ったことに対し、トランプ大統領は「中国ではなく米国で製造すれば、関税はゼロになるし税優遇措置も受けられる」とコメントしました。
 
しかしBank of Americaの試算によると、「米国への還流(Back to US)」を標榜するトランプ大統領に従って、Appleが米国内にiPhoneの生産工場を建設した場合、中国の2.6倍と言われる米国の労働コストを相殺するために価格は最大で20%上昇するそうです。
 
「AppleがiPhoneの生産ラインのうち10%を米国に移すという“もっとも有り得そうな”シナリオでは、iPhoneの価格は8%上昇するだろう」とは、Bank of Americaでアナリストを務めるワムシ・モハン氏の弁です。同氏は、仮にAppleが米国製造の割合を50%や100%にした場合、iPhoneの価格はそれぞれ14%、20%の上昇に見舞われると予測します。

中途半端に移動しても雇用は増えない?

iPhoneの生産ラインが移ることで米国内の労働者が増えるならば、価格上昇を受け入れることもやぶさかでない、と考える消費者もいるかも知れません。
 
ところが、仮に米国に組み立て工場を作っても、ほとんどの生産工程を中国で担うほか、生産自体も高度に自動化されているため、期待されているような雇用増にはつながらないという指摘もあります。事実、iPhone生産にかかる労働コストは、端末平均価格のわずか2.2%に過ぎないと言われています。
 
したがって、中途半端に生産ラインを米国に移動しても、iPhoneの価格だけ上がった割には大した益を生み出さないという可能性が高いでしょう。
 
 
Source:CNBC
Photo:Flickr-White House
(kihachi)

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丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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