Huaweiにベンチマークスコアの水増し疑惑~「他社もやっている」と反論
スマートフォン市場においてSamsungに次ぐ2位のシェアを持つHuaweiに対し、ベンチマークテストのスコアを「水増し」するモードがスマートフォンに搭載されているのではないか、という疑惑が浮上しています。
分かりやすい指標だが
ベンチマークスコアとは、スマートフォンの性能を表す指標の1つで、一般的には数値が高い(あるいは低い)ほど高性能であるとされています。
例えば、マルチコアスコア(ゲームや動画など高い処理能力が求められる状況でのスコア)において、SamsungのGalaxy Note9は8,876、iPhone Xは10,357という数値をGeekBenchで出しています。
もちろん、ベンチマークスコアがスマートフォン性能の全てではありませんが、消費者に分かりやすい指標とあって、わざとスコアを高く出そうとするメーカーも存在します。
ベンチマークアプリを検知するモードが存在
Huaweiの「チート」を告発したAnandTechによると、同社が発売しているHonor Play(約3~4万円)が、なぜかHuawei P20(約6万円)に比べてベンチマークスコアが不自然に高いことなどから、今回の疑惑が発覚したそうです。
どちらのモデルも同じKirin 970チップを採用しており、スコアに著しい差が生じることは考えにくいと判断したAnandTechは検証を行いました。
その結果、Honor Playには特定のアプリが列挙されたホワイトリストが存在し、リスト上のアプリが起動する場合のみ、効率化はそっちのけで消費電力を著しく向上させ、性能をブーストさせていることが分かりました。
さらに、このリストはベンチマークアプリを検知するようになっており、グラフィック性能を検証するGFXBenchを起動すると、検知モードをオフにした時とオンにした時で、FPSや消費電力に2倍の差があることも判明しました。
「他社もやっている」と反論
この検証結果に対し、Huaweiの消費者セクターでソフトウェア部門を率いるワン・チェンルー氏は、実際の使用状況とスコアが乖離していることは認めつつも、「他社も同じことをやって、高いスコアを出している。Huaweiとしては黙っていられない」と反論しています。
Androidのエコシステム、とりわけ中国のスマートフォン業界は非常に競争が激しいため、ベンチマークアプリのスコアが現実に即したものではないと分かってはいながらも、同業他社が非現実的なスコアを出し続けている以上はHuaweiも追従せざる得ない、というのが彼の言い分です。
しかし、AnandTechは「AnTuTuと違って、(今回使用した)GFXBenchは比較的“現実に即した”ベンチマークアプリだ」と指摘し、Huaweiほどの巨大企業がハイスコアを出すために消費者を欺こうとするのはきっと裏目に出るだろう、と厳しく批判しています。
かつて同じような批判に晒され、「不正をしているわけではない」と苦しい言い訳をしたOnePlusに比べれば、潔く認めたHuaweiの態度は評価できるかも知れませんが、はたして消費者は「業界全体の問題なら仕方ない」と納得できるのでしょうか。
なお、Huaweiは先日も、一眼レフで撮影した写真を「Nova 3i」で撮ったかのようにCMで見せていたとして大きな問題となったばかりです。
Source:AnandTech
Photo:Huawei
(kihachi)