Apple公式サイトは視覚障がい者差別?米女性がAppleを提訴
障がい者のアクセシビリティに力を入れているイメージの強いAppleですが、彼らの誰もが快く思っているわけではないようです。視覚障がいを持つ米在住の女性が「Webサイトのレイアウトが障がい者のための法律に違反している」として、Appleを訴えていたことが分かりました。
スクリーンリーダーがうまく機能しない
視覚障がい者は一般的に、スクリーンリーダーと呼ばれる画面読み上げソフトウェアを用いることで、Webサイトに記載された内容を理解することができます。
しかし、Appleを訴えた原告のヒメルダ・メンデス氏によると、同社のWebサイトに用いられているコードは、スクリーンリーダーを利用するのに適していないそうです。
同氏は具体例として、掲載されている画像が代替テキスト属性を有していない、テキストを欠いた空リンクを含んでいる、同じアドレス先に飛ぶ不要なリンクが隣同士に位置するなどを挙げ、スクリーンリーダーの利用者がページを理解するのを妨げていると訴えています。
「スクリーンリーダーのソフトウェアが機能するためには、Webサイト上の情報がテキストに翻訳できる必要がある」とはメンデス氏の弁です。「Webサイトのコンテンツがテキストに翻訳できなければ、視覚障がいを持つユーザーは、視覚を持つユーザーが利用可能なコンテンツにアクセスすることができない」
コンプライアンスの欠如で「意図的な差別」?
Web技術の標準化を推進する非営利団体W3Cは、障がいを持つ人もWebを使いやすいよう設計するためのガイドライン=Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0にて、視覚障がい者も視野に入れたWebサイト設計ルールを設けています。
原告であるメンデス氏によれば、Appleはこの国際的なルールに準拠しておらず、「意図的な差別」を行っていると捉えられて然るべきとのことで、同社が「障がいを持つアメリカ人法(Americans with Disabilities Act of 1990:ADA)」に違反しているとしています。
障がい者への気配りで知られてきたAppleだが
Appleは2018年3月、絵文字のコンソーシアムであるUnicodeに「障がいを持つ人の絵文字が存在しない」として、補聴器や盲導犬、車椅子などの絵文字導入を提案しています。
また2017年にも、Apple製品のアクセシビリティ機能が、点字開発者の名を冠したルイ・ブライユ賞を受賞するなど、障がい者の尊重に対する同社の熱心な取り組みはかねてより有名です。
それだけに、仮に今回の訴訟内容が事実であれば、なんともお粗末な話ですが……。
Source:The Register
(kihachi)