「恐怖と愛を感じていた」スティーブ・ジョブズ氏の娘、自叙伝を刊行

small fry リサ・ブレナン・ジョブズ

small fry リサ・ブレナン・ジョブズ
 
Apple創業者であるスティーブ・ジョブス氏には、リサ・ブレナン・ジョブズ氏という婚外子がいます。父であるジョブズ氏からは、自分の娘であるという認知や養育費の支払いを渋られたりと、億万長者の娘ながら決して満足な扱いを受けてきたとは言えない彼女ですが、この度「Small Fry」という自叙伝を刊行することが分かりました。

冷たかった父親

かねてより刊行が噂されてきた「Small Fry」は、父であるスティーブ・ジョブズ氏を含む家族との思い出を記した内容で、タイトルのSmall Fryとは「取るに足らない人々」「ガキんちょ」の意で、リサ氏が幼い頃に自身をどう感じていたかが伝わってきます。
 
父から冷たい態度を取られることも多かったというリサ氏は、ジョブズ氏がしばしば金銭を利用して、彼女を困惑させたり怖がらせたりしてきたとも話します。
 
ある時は同席していたレストランから支払いを済ませず勝手に出ていってしまったり、別のある時はリサ氏と母親のために購入したはずの家に、自身の妻(ローレン・パウエル・ジョブズ氏)と一緒に引っ越したりと、嫌がらせとしか思えないようなこともあったそうです。
 
他にもジョブズ氏の“冷酷さ”を示すエピソードには事欠かないようで、ある日のディナーでは、何の気なしに肉を注文(ジョブズ氏は菜食主義者だったと言われている)したリサ氏のいとこに向かって、「お前の声がどんなに醜いか、考えてみたことはあるか?」「その醜い声で話すのをやめてくれ」「自分のどこがダメなのか、真面目に考えて直す努力をするべきだ」などと言い放ったことなどが記されています。

“非道”に反省する面も

もっともリサ氏の理解では、ジョブズ氏は決してそのような態度を好んで取っていたわけではないようです。
 
「彼がぞんざいな態度なのは、よりよく振る舞うにはどうすべきなのか知らなかったからだ」とリサ氏は話します。「(彼は)人間と非人間の間を揺れ動いていた」
 
事実、最終的にジョブズ氏はリサ氏に対し、自身の非礼を詫びたそうです。
 
リサ氏が「映画のエンディングのようだった」と語るように、彼女の幼い頃に相手をしなかったことや、誕生日すら忘れていたこと、伝言や電話も返さなかったことなどをジョブス氏は謝りました。また、泣きながら何度も「ありがとう」と懺悔を述べてきたこともあったのだとか。
 
「私は彼が怖かった。震えと同時に、ほとばしるような愛も感じていた」と父親を形容するリサ氏の語りからは、我々の親がそうであるように、ジョブズ氏もメディアが語るようには一枚岩で捉えることができない人物だったことを、改めて知らしめさせてくれます。
 
アメリカでの「Small Fry」発売は9月4日となりますが、日本での邦訳出版にも期待がかかりますね。

2人の関係をテーマにした映画も

ちなみに、ジョブズ氏とリサ氏の複雑な父-娘関係、そして「Lisa(Local Integrated System Architecture)」と名付けられたコンピュータについては、ダニー・ボイル監督が映画「スティーブ・ジョブズ」でテーマとして取り上げています。
 
若かりし頃、ジョブズ氏と一緒にAppleを立ち上げたスティーブ・ウォズニアック氏も絶賛しているとあって、こちらも本が出版される前に改めてチェックしておきたいところです。
 
 
Source:NYT,MacRumors
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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