GoogleのAIデモは本物だったのか?開発者会議で披露された録音に疑問の声


     
    5月8〜10日の3日間にかけて開催されたGoogleの開発者会議I/O 2018で、最高経営責任者(CEO)のサンダー・ピチャイ氏により、人工知能(AI)が独立して電話対応する「Google Duplex」のデモが披露されました。録音を聞いた観客からは大きな歓声が上がり、メディアでも称賛されましたが、デモの録音自体に不可思議な点がいくつかあると、米メディアAxiosは独自の意見を発表しています。

    Googleのプロフィールと価値を上げるための戦略?

    Axiosによれば、Googleはまだ完成していない技術をあたかも正しく動作するかのように見せかけることで、同社のプロフィールと価値を上げるねらいがあったのではないかと分析しています。
     
    開発者会議では、CEOのサンダー・ピチャイ氏が「Google アシスタントが実在する美容室に電話をかけて、アポをとるところを聞いてみましょう」と述べ、録音が再生されました。
     

    何がおかしいのか

    お店に電話すると、必ずと言ってよいほど電話をとった店員はその店名を名乗るものです。担当者が自分の名前を言う場合もあります。しかしながら、Googleのデモでは実在する店舗に電話をかけたにも関わらず、冒頭で店名が触れられませんでした。
     
    美容室に電話したときと、レストランに電話したときの両方の場合で「こんにちは、ご用件は何ですか?」と、すぐに会話が始められました。
     
    Axiosが実際に美容室やレストランに電話をかけてみたところ、すべての店舗ですぐさま店名が明かされました。同メディアが電話した店には、Googleの本社がある米カリフォルニア州マウンテンビューにあるものもいくつか含まれていたようです。
     
    また、店舗につきものの背景のノイズというものがデモ録音ではまったく聞かれませんでした。美容室ならドライヤーの音、レストランなら皿の音など、環境音が録音の中に全く含まれていません。

    Googleに問い合わせてみた結果

    AxiosがGoogleに実際にGoogle Duplexが電話をかけた店舗の名前を明かすように求めたところ、関係者に聞いてみるとの答えがあったのみで、その後返事が途絶えたとのことです。
     
    Googleがこれ以上質問に答えない限り判断のしようがありませんが、実際の技術はもう少しで実装可能のところまで来ているが、まだ完成には至っていないのではないかとAxiosは推測しています。
     
     
    Source:Axios
    Photo:TechNadu
    (lexi)

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