ガラケーを持つことの意味が変わりつつある?スマホ社会へのアンチテーゼ
米ニューヨーク市在中の30歳のフランス人画家のローマン・コチェット氏は、ちょうど今から1年前に500ドル(約5万3,800円)のiPhone7と、30ドル(約3,230円)のLGの折りたたみ携帯を交換したそうです。常に届き続ける通知に圧倒され、創造性が奪われていると感じたコチェット氏は、ガラケーに戻ったことを今もまったく後悔していないそうです。
ソーシャルは簡潔なほうがいい?
「スマートフォンがあると、メッセージを打ったり、誰かと話したり、常にコミュニケーションし続けることになり、他のことをする時間がなくなる」と、コチェット氏は語ります。「今のほうが自分のやっていることにずっと集中できている。気が散っていない」と同氏は続けます。
誰もがスマートフォンに四六時中釘付けになっている今日、ガラケーは新たな意味を持ちつつあるようです。Facebookによるユーザーデータの不正使用の騒動を受けて、Facebookアカウントの削除を促す動きが加速していることと相まって、ガラケーはスマホ社会へのアンチテーゼとして機能し始めているようです。
調査企業Forrester Researchによれば、米国では現在約2,400万人がガラケーを使用しているとのことです。決して多くはないガラケーのユーザー数ですが、有名人がガラケーを使用しているのが目撃されると、TwitterやInstagramですぐさま情報が拡散されるなど、今の時代にスマートフォンではなく、あえてガラケーの使用することへの人々の関心は絶えないように見えます。
米大手携帯電話キャリアのVerizonによると、今も一定数のガラケーユーザーが確実に存在するとのことです。野外で働く人は、落下や風雨に耐えられるデバイスを必要としており、ガラケーのほうがこうした衝撃に強いのは確かです。
ワシントン大学の地理情報システムの教授、37歳のジム・サッチャー氏も故障を機に約1年前にスマートフォンを手放し、ガラケーに切り替えました。
「携帯なしで3週間ほどやり過ごそうとしたが、2人の子供がいるため、何かあったときのためにどうしても連絡がつくようにしておく必要があった。だからVerizonの折りたたみ携帯をeBayで注文した。それからはずっとガラケーを使い続けている」と、サッチャー氏は述べています。
サッチャー氏はソーシャルメディアを利用していますが、携帯以外のデバイスでアカウントにアクセスしているそうです。スマートフォンを持っていたときは「子供よりも携帯を見ている時間のほうが多かった」と当時を振り返るサッチャー氏は、「日々の生活をより意味のあるものにしたい」と語っています。
Source:The Seattle Times
Photo:Mytho88/Wikimedia Commons
(lexi)