米国内の警察はiPhoneをロック解除できる!?

GrayKey

GrayKey
 
米国内の多くの地方警察や政府機関がiPhoneロック解除ツール「GrayKey」を購入、警察署内でのiPhoneのロック解除が可能になっているようです。

地方警察や政府機関がGrayKeyを購入

米メディアMotherboardが情報公開権を行使して収集した記録から、米国内の多くの地方警察や政府機関が、Gryashiftが提供するiPhoneロック解除ツールを購入していることが判明しました。
 
同メディアによれば、メリーランド州警察およびインディアナ州警察がGrayshiftにGrayKeyを発注しているほか、フロリダ州マイアミデード郡警察にも、購入したと思われる形跡がありました。またインディアナポリス都市警察は、購入は確認されていないものの、金額について問い合わせたことがわかっています。
 
GrayKeyを購入しているのは地方警察だけではありません。Eメールのやり取りから、米政府のシークレットサービスが最低でも6台のGrayKey購入を計画していることが発覚。また司法省と連邦捜査局(FBI)がすでにGrayKeyを購入しているほか、麻薬取締局も購入を検討しているようです。

最短2時間でiPhoneをロック解除

サイバーセキュリティ企業Malwarebytesが公開している写真によれば、GrayKeyは約10センチ×10センチの小さな箱で、iPhoneにつなぐ2本のLightningケーブルが付属しています。
 
契約形態は2種類あり、1つはオンライン接続が必要で最高300回のロック解除が可能な契約で料金は15,000ドル(約161万円)、もう1つはオフラインで利用でき、上限なしでロック解除可能な契約で料金は30,000ドル(約322万円)です。
 
Forbesが発見したGrayshiftの宣材によれば、GrayKeyはiOS11を搭載した、最新のiPhone Xもロック解除可能とのことです。
 
Malwarebytesによれば、GrayKeyを使えば最短2時間でiPhoneをロック解除できます。ただしパスコードが6桁の場合は3日以上かかるようです。

米政府は今もバックドア設置を要求

しかしMotherboardは、いずれはGrayKeyが通用しなくなる日がくると指摘します。ロック解除方法が見つかればAppleはさらにセキュリティを強化して対応するという、いわば「いたちごっこ」となるからです。
 
FBIと司法省がAppleを含むスマートフォンメーカーに、政府当局が個人データにアクセスできるようにする「バックドア」の設置を要求する理由はここにあります。ツールを購入するよりも、確実にスマートフォンをロック解除できる手段を確保したいと考えているからです。費用の問題もあるでしょう。
 
今年3月、FBIは、2017年は約7,800台のスマートフォンがロック解除できなかったと発表しています。
 
 
Source:Motherboard
Photo:Malwarebytes
(lunatic)

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この記事を書いた人

元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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