【CES 2018】中距離ワイヤレス充電が可能なバッテリー

    CES 2018

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    CES 2018で見た興味深い技術のひとつが、中距離ワイヤレス充電によって繰り返し利用できるバッテリーです。

    電池をワイヤレスに充電

    米Ossiaが紹介していた「Cota」は中距離ワイヤレス充電技術で、トランスミッターとレシーバーで構成されています。まずトランシーバーからトランスミッターに無線信号を送ってその位置を知らせると、トランスミッターがレシーバー側に電波を送り、レシーバーがそれを電気に変換して充電するという仕組みです。
     
    Ossiaによれば、電波は人体などは通過しないため安全で、壁や家具に跳ね返ってレシーバーに届きます。充電可能なのは1つのデバイスにかぎらず、レシーバーを搭載した複数のデバイスを同時に充電することができます。
     
    また同社はレシーバーを巻きつけたバッテリーも開発しています。このバッテリーはワイヤレスに充電ができるため、取り出すことなく何度でも繰り返し利用可能です。
     
    CES 2018

    エネルギー効率とコストが最大の課題

    このように書くと、非常に理想的な技術に思えます。しかしブースで受けた説明によれば、トランスミッターの消費電力が120Wであるのに、充電対象となるデバイスは1m離れているとたった2W、5m離れると100mWしか充電できません。つまりエネルギー効率が非常に悪いのです。
     
    トランスミッターの数を増やせば充電効率が上がりますが、同社によれば、量産された場合でも1枚あたり数百ドルはかかります。
     
    コストがあまり問題にならない、あるいは消費電力の小さいものを充電する場合には有効ですが、ワイヤレス技術に詳しい人物によれば「タブレットやスマートフォンを充電するには不十分」とのことです。
     
    AppleがiPhone8/8 Plus/Xで、一時噂になった中距離ワイヤレス充電技術ではなく「Qi(チー)」を採用したのも、当然のことなのかも知れません。
     
     
    (lunatic)

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    この記事を書いた人

    元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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