Apple、租税回避策として子会社をアイルランドからジャージーに移転

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現地時間11月5日、国際調査報道ジャーナリスト連合のICIJは、Apple2014年に租税上の子会社の登記をアイルランドからフランス・ノルマンディ沖のジャージー島に移転させた、と暴露しました。
 
これまでアイルランドで行っていた租税回避策が、EUによって禁止されるのを察知した故の策のようです。

タックスヘイブンとして知られるジャージー

Appleは以前アメリカの本社とは別に子会社をアイルランドに設立し、アイルランド政府から税制上の不正な優遇措置を受けていたとして、EUから130億ユーロ(約1兆7,000億円)の追徴課税を命じられていました。
 
EUはこの問題に関して2014年6月から調査を開始していましたが、Appleも不穏な空気を感じたため、同時期にアイルランドにある子会社の登記をジャージーに移したようです。
 
ジャージーはフランス・ノルマンディの海岸近くにある、人口わずか10万人の小さな島です。企業に税金を課さない、いわゆる「タックスヘイブン」として知られており、いまもAppleはジャージーを通して税金を避け、利益を上げているといいます。

2020年には莫大な税金が発生する可能性も

Appleは2014年までアイルランドに、Apple Sales InternationalとApple Operations Internationalという2つの子会社を置いていました。
 
ICIJによると、Apple Sales Internationalは国際的な収支の大部分を受け取っており、2009年から2014年の間に1,200億ドル(約13.6兆円)以上の収益を得ていたといいます。
 
アイルランドに2つの子会社を置いて税金を回避する方法は「ダブル・アイリッシュ」と名付けられており、GoogleやFacebookなども採用していた有名な租税回避策です。
 
2014年にはEUによってダブル・アイリッシュが禁じられてしまいますが、2014年12月31日より前にアイルランドで設立された企業は、課税待遇措置として2020年までタックスヘイブンに籍を置くことが許されています。
 
現在Appleはその猶予期間中にあたるといえますが、もし今後アメリカ本土にこれまでの利益を戻した場合、35%の税金が課されることになります。
 
アメリカ国外に2528億ドル(28.7兆円)もの資産をもつと言われているAppleが莫大な税金を回避するためには、課税待遇処置が終了する2020年までに次の策を練る必要があるようです。
 
 
Source:TechCrunch
Photo:flickr-Herry Lawford
(kotobaya)

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この記事を書いた人

2016年より専業Webライターとして活動。iPhone使用歴は11年以上。iPad、MacBook Pro、Apple Watch、AirPods Pro、AirTagなどApple製品を愛用。

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