経産省、AppleやGoogleのアプリストアを「独禁法違反の可能性」と問題視!

経産省 Apple Google

経産省 Apple Google
 
経済産業省は、AppleやGoogleによるアプリストアの取引実態を問題視し、公正取引委員会による調査が必要、と指摘しています。

経産省、報告書でアプリストアの取引実態を問題視

経済産業省が公表した9月16日に公開した「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書」において、スマートフォンのアプリストアにおける取引における問題点を8つ、指摘しています。
 
経済産業省 第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書
 
報告書では、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のようなプラットフォーマー、とくに寡占状態となっているGoogleとAppleの2社がアプリ提供者に対して優位に立っていることを問題視し、独占禁止法違反にあたる可能性がある、としています。
 
なお、これらは8月に公正取引委員会が独占禁止法違反の可能性を指摘していた「OS事業者が自社アプリを抱き合わせ販売」とは別な問題点です。

アプリストアに関する8つの問題を指摘

報告書で指摘されている問題点は以下の8点です。
 

  1. 決済手段に対する拘束: アプリストアが、自ら提供する決済方式以外を制限しており、他の決済方式を使う場合に30%の手数料を徴収している場合がある。また、アプリ内購入の場合はアプリストアの提供する方式を利用しなくてはならない。
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  3. 硬直的な価格体系: アプリの販売価格が120円、240円などと決められた価格表からしか選べない。為替レートに対応するため、アプリ提供者の合意なしに価格表を変更された事例もあった。
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  5. アプリ間で共通の仮想通貨の禁止: あるアプリで購入したコインを、同じアプリ提供者のアプリで使うことを認めていないケースがある。アプリ提供者によるユーザーの囲い込みが制限されている。
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  7. 自らの提供するアプリと競合するアプリの排除: アプリストアを運営する企業が、競合するアプリ提供者のアプリについて、機能を制限するなど、競争上不利になるようにしている。
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  9. 販売や返金処理等に関する情報提供の少なさ: ユーザーが購入したアプリやアプリ内課金の返金を希望した場合、アプリストア事業者が返金に応じる場合がある。アプリ提供者は、アプリ購入時と返金時で手数料を二重取りされるのに加え、返金を希望したユーザー情報や理由が明かされないため、二重返金の可能性があるほか、アプリの改善に活用できない。
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  11. 不透明な審査基準とその運用: アプリストア側からの公開拒否の決定が出た場合、具体的理由が明かされないため、アプリ提供者が審査結果を検証できず、弱い立場に置かれている。
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  13. アプリストアを経由しないサービス提供の制限: OSにプリインストールされている検索エンジンで検索すると、アプリストアの提供するアプリが上位に表示される場合がある。Webでアプリを公開するアプリ提供者が不利になっている。
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  15. 秘密保持契約の締結: 締結する秘密保持契約の範囲が必要以上に広範囲にわたっている場合がある。

改善されればユーザーにもメリット

報告書で指摘されているのは、iPhoneなどスマートフォンユーザーの多くが、当たり前に感じているようなことです。

 
しかし、もしアプリストアの利点であるセキュリティをしっかり確保できた上でこれらの問題点が改善されれば、アプリ開発者には有益と考えられます。アプリ開発者が適正な利益を確保しやすくなることで、良質なアプリの提供が促進され、結果的にユーザーにメリットが期待できます
 
すでに確立していると言えるアプリストアのビジネスモデルに、今回の報告書がどの程度インパクトを与えることができるか、今後の動向に期待して見守りたいところです。
 
 
Source:経済産業省 via ケータイwatch
(hato)

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この記事を書いた人

2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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