「Pokémon GOでメンタルヘルスが改善する」精神医学の専門家が語る

海外で大ブームを巻き起こしている「Pokémon GO」が、うつ病などメンタル不調の改善に効果がある、と精神医学の専門家が述べています。ゲームが運動するきっかけになっている、とのことです。
「Pokémon GOのメンタルヘルス改善効果は前例がないレベル」
「Pokémon GO」は海外で順次リリースされており、アメリカでのアクティブユーザー数がTwitterを抜き、早くもモバイルゲームで史上最大のヒット作となっており、日本でも近日中の公開が見込まれています。
テクノロジーがメンタルヘルスに与える影響の専門家であるJohn Grohol博士が、「Pokémon GO」が人々のメンタルヘルス改善にもたらす効果は前例のないものだ、と述べています。
Twitterには、不安神経症やうつ病患者による、「Pokémon GO」の効果で外出や、友人さらには他人とやり取りするのが楽になったとの書き込みがあふれています。
#PokemonGO has changed me so much for the better in only a week. Dealing with BPD, depression& anxiety it has helped me get out of the house
— Lara (@38Violetqueen) 2016年7月11日
Real talk – as someone with anxiety/depression, the fact that I've spent most of this weekend outside with friends is unreal. #PokemonGo
— HiRez David (@uglycatlady) 2016年7月10日
Pokemon Go has got me up and moving and meeting new people.
Thank you, Nintendo/Niantic, for giving me a great anti-depression tool. <3
— Josh the Seal (@ManectricMan) 2016年7月12日
Grohol博士は、うつ状態に苦しむ人々にとって、「Pokémon GO」が改善の重要な一歩となっている、と語ります。
ゲームをきっかけに外出し、歩き回る運動が効果
Grohol博士は、「うつ状態になると、モチベーションは無に等しい状態になります。すると、新鮮な外の空気を吸うのも、シャワーを浴びることすらも困難になってしまいます。このゲームは、うつ症状の改善に実に効果的だと考えます」と説明しています。
この考えが突飛なものでないのは、うつ状態の改善に運動が効果的であると20年以上前に確認されていることからも明らかだ、と博士は語ります。
ゲームを進めるために外出し歩き回ることは、メンタルヘルスの改善になるだけでなく、肥満の改善をはじめ、総合的な健康の増進に効果があります。
高学歴でテクノロジーに詳しい人ほど、メンタル不調で専門家の助けを借りようとしない
アメリカでは年間およそ4,380万人がメンタル不調を経験しており、これは大人の5人に1人にあたります。
自殺予防団体Take Thisによると、不安神経症やうつ病などのメンタル不調に苦しむ人のコミュニティのつながりを強めるのに、ゲームが効果的とのことです。
Take Thisの共同創設者Russ Pitts氏によると、一般的に高学歴でテクノロジーに詳しい人ほど、メンタル不調について専門家の助けを借りようとしない傾向があるそうです。「精神的な問題と分かると、彼らは精神分野に詳しいので自力で何とかしようとします。しかし、多くの場合その試みはうまくいきません。」と同氏は語っています。
ただし過信は禁物、根本治療は専門家に相談を
「Pokémon GO」がメンタルヘルスの改善に効果的とはいえ、過信は禁物です。
Grohol博士は「この種のゲームを、慢性うつ病など深刻な精神疾患に対処するのに使うのはお勧めできません」「ゲームは、心理療法や服薬の良き手助けになっても、症状改善の根本策と考えてはいけません」と注意を促しています。
「Pokémon GO」はメンタル不調の万能薬ではないものの、多くの人がゲームをきっかけに外出し、歩くことで心身の健康につながれば、約1年前の2015年7月13日に亡くなった任天堂の岩田社長も天国で喜んでいるかもしれません。
Source:Engadget
(hato)