クパチーノ市長、「Appleはもっと税金を払うべきだ」と主張

    Apple Campus2 ティム・クックCEO

    Apple Campus2 ティム・クックCEO
     
    Apple本社のあるクパチーノ市の市長が、Appleはもっと税金を払うべきだ、と主張しています。背景には、新社屋「Apple Campus2」が完成すれば、交通渋滞がさらに悪化するとの懸念があります。

    Appleのお膝元、クパチーノ市長が吠えた!

    カリフォルニア州クパチーノ市といえば、Appleの本社所在地として有名です。2015年12月に就任したクパチーノ市のバリー・チャン市長は、Appleは地元にもっと税金を支払うべきだ、と主張しています。
     
    2015年3月にご紹介したように、人口約6万人のクパチーノ市の財政は、Appleに依存していると言っても過言ではありません。Appleは2012年から2013年にかけて、市の一般歳入額の18%に相当する920万ドル(約10億円)の税金を支払っています。

    懸念の火種は14,000人が働くAppleの新本社

    老朽化した道路と、貧弱な公共交通機関に不満を持つ市民からは、Appleの巨大な新社屋「Apple Campus2」が完成し、約14,000人の従業員たちが車で通勤すれば、渋滞と騒音が悪化する、と懸念の声があがっています。
     
    中には「Apple新社屋の建設を止めさせろ」と主張する市民グループもあります。チャン市長は「進行中の建設工事を中断すれば地域経済への打撃が大きすぎる」と工事の中断には否定的ですが、Appleからより多くの税金を徴収し、道路渋滞の解消と公共交通機関の整備・充実を実現したいと考えています。

    「渋滞問題の一因となっているなら、解決を担う一員に」

    クパチーノ市のバリー・チャン市長

    クパチーノ市 バリー・チャン市長


     
    チャン市長は最近、市のインフラ整備のためAppleから1億ドル(約107億円)を徴収する条例を提出しようとしたところ、市議会議員1人の賛成票も得られず、廃案に追い込まれました。
     
    これがアメリカの政治か。これが民主主義というものか」とチャン市長は憤りを隠せません。「Appleは巨大企業で、議員の誰もAppleに不利になることはしたがらない。Appleは、議員たちがAppleに不利な議決をしないように話している。これが真実だ」と、日本風に言えば企業城下町の議員たちが、巨大企業に丸め込まれているとの疑念を語っています
     
    「(交通渋滞)問題を作り出す一因になっているなら、問題の解決を担う一員になってもらいたい」チャン市長は、Appleに交通渋滞問題の解決に責任を負ってほしいとの考えを強調しています。
     
    市長は、100名以上の従業員を持つ企業に従業員1人当たり1,000ドル(約10万7,000円)を科す、という新たな条例案の準備に取り組んでいます。もし条例が成立すれば、14,000人が働くApple Campus2は、市に約1,400万ドル(約15億円)の税収をもたらす存在となります。
     
    なお、Appleに対しては、過度の節税対策をしているとの批判があり、ティム・クックCEOはテレビのインタビューで反論していました。最近も、共同創業者のウォズニアック氏が「Appleはもっと税金を払うべきだ」と主張しています。

    交通渋滞解消の構想、市の公式YuoTubeチャンネルで公開

    チャン市長の交通渋滞解消策は、紙芝居風の動画としてクパチーノ市公式YouTubeアカウントで公開されています。ハイウェイの車線追加、多人数乗り合いバス優先レーンの設置などの構想が紹介されており、わかりやすく興味深い内容となっていますので、ぜひご覧ください。
     

     
     
    Source:The Guardian, City of Cupertino (1), (2)
    (hato)

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