
Apple「元社員が証拠隠滅を指示」OpenAI訴訟で新証拠

AppleがOpenAIを相手取って争っている企業秘密窃取をめぐる訴訟で、Appleが「OpenAIは現在も証拠隠滅を進めている」と主張する新たな書面を裁判所に提出したと、米メディアAppleInsiderが報じました。証拠隠滅の疑いは、Appleの元社員チャン・リュー(Chang Liu)氏が使用していた業務用MacBookから見つかった情報によって浮上したとされています。米国での裁判ではあるものの、iPhoneやMacのAI機能を支える両社の関係に関わる争いとして、日本のユーザーにとっても無関係とは言えません。
元社員のMacBookに証拠隠滅を示す情報があるとAppleは主張
AppleInsiderによると、Appleは現地時間8月31日(月)、新たな書面を裁判所に提出しました。この中でAppleは、元社員チャン・リュー氏の業務用MacBookから発見された情報が、OpenAIが訴訟に関わる証拠を積極的に破棄していることを示唆する、と主張しています。
裁判の途中で証拠が失われてしまえば、あとから事実関係を立証することは難しくなります。Appleはかねてから「この訴訟には緊急の対応が必要であり、手続きが遅れるたびに損害が拡大する」と裁判所に訴えており、今回の書面はその主張を裏付ける材料と位置づけられているとみられます。
発端は7月の提訴、400人超の引き抜きが背景にある
この訴訟は、2026年7月にAppleがOpenAIを企業秘密の窃取で提訴したことに始まります。AppleInsiderによれば、OpenAIはAIプロジェクトを進めるためにAppleから400人を超える社員を引き抜いており、7月の訴状では、そのうち2人の元社員が名指しされました。
iPhone Maniaでは当時、AIハードウェア開発をめぐってAppleとOpenAIの関係が険悪になり、企業秘密窃取の疑いが持ち上がっていることをお伝えしています。今回の書面は、この訴訟の続報にあたるものです。数百人規模の人材移動を伴う争いだけに、両社の対立は一朝一夕には収まらない可能性があります。
Appleは証拠開示の前倒しを裁判所に求めている
Appleは以前から、証拠開示(ディスカバリー)の手続きを通常より早いスケジュールで進めるよう裁判所に求めてきました。米国の民事訴訟では、当事者同士が互いに証拠を開示し合うディスカバリーが審理の土台となるため、その前に証拠が失われれば訴訟全体に影響しかねません。
Appleが「遅れるほど損害が広がる」と繰り返し強調しているのは、OpenAIの手元にある証拠が時間の経過とともに失われることへの危機感の表れとみられます。
日本のユーザーへの直接の影響は現時点でない
今回の訴訟は米国で争われているもので、日本で販売されているApple製品や、日本で利用できるOpenAIのサービスに、現時点で直接の影響は出ていません。ただし、AppleはiPhoneなどのAI機能「Apple Intelligence」でChatGPTとの連携を提供しており、両社は協力相手であると同時にAI開発では競合するという複雑な関係にあります。訴訟が長期化・泥沼化すれば、日本のユーザーが今後使うAI機能の展開にも影響が及ぶ可能性があるとみられます。
裁判の今後の進展をはじめ、Mac関連の最新ニュースはiPhone ManiaのMacカテゴリまとめページでもお伝えしています。続報が入り次第、あらためてご紹介します。
元エンジニアが同僚に証拠隠滅を指示〜Appleは審理の迅速化を要求
Appleの申立書によると、元エンジニアのChang Liu氏はAppleの機密回路図をダウンロードし、OpenAIでの業務に使用したとされています。さらに、Appleが第三者のクラウドストレージに保管していたデータへのアクセス権を持ち続けていたことも指摘されています。
とくにAppleが問題視しているのが証拠隠滅です。Liu氏はAppleによる社内調査を知った直後、OpenAIの同僚に証拠を破棄するよう指示を送り、実行されたことを確認していたと主張されています。加えて、Appleの社内エンジニアリングツールと同じ名前のツールをOpenAI側で使っていたことも判明したとしています。
Appleはこうした経緯を踏まえ、証拠開示手続きの迅速化を裁判所に求めています。重要な証拠がさらに失われる恐れがあるためとしています。あわせて、OpenAIが機密情報を使用・参照することを禁じる差止命令も求めています。
Source: AppleInsider
