暗号化したHFS+ドライブが読めなくなる〜macOS 28の盲点

古い暗号化済みの外付けHDDをMacにつないでも、2027年登場とみられるmacOS 28では開けなくなる恐れがあります。対象は暗号化された状態のMac OS Extended(HFS+)ドライブで、事前の復号か再フォーマットが必要です。影響が古い一部に絞られるため気づきにくく、そこが盲点です。1年以上ある猶予のうちに、何をすべきか整理します。
macOS 28で何が変わるのか
見出しだけを見ると「HFS+が使えなくなる」と身構えがちですが、締め出されるのは暗号化された状態のものだけです。非暗号化のHFS+は今後も問題なく開けます。
問題は、この細かな線引きが、かえって危険を見えにくくしている点にあります。対象かどうかを一人ひとりが見極める必要があり、その一手間を面倒がる人ほど、後で痛い目を見がちです。狙われるのは知識ではなく、油断です。
対象ドライブの見分け方
手持ちのドライブが暗号化HFS+かどうかは、次の手順で見分けられます。
- ディスクユーティリティを開き、表示メニューで「すべてのデバイスを表示」に切り替える
- 対象ボリュームを選び、情報欄に「Mac OS Extended」と「Encrypted」が併記されていないか見る
- 接続のたびパスワードを求められる場合も暗号化の疑いがある
ただしキーチェーンに保存済みだと聞かれないため、聞かれない=安全とは限りません。一つでも当てはまれば対象候補です。まずは点検から始めましょう。
なぜ暗号化層だけを切るのか
理由についてApple自身は明言を避けています。ただ、手がかりは実装の違いにあります。HFS+はCoreStorageという別の仕組みで暗号化を後付けしていたのに対し、APFSは暗号化を最初から組み込む設計です。
ネイティブ暗号化のAPFSが定着した今、二重構造で継ぎ足した古い暗号化を抱える理由は乏しいと筆者は考えます。派手な新機能の陰で進む地味な整理こそ、Appleが足場を固め直す一手だと受け止めています。単なる機能削減ではなく、世代交代の一手と読むほうが実態に近いのではないでしょうか。
日本のHDD世代が直面する落とし穴
見落とされがちなのは、毎日使うSSDより、暗号化したまま棚に眠るHDDのほうが危ういという逆転です。2018年以降のMacはほぼAPFSで動くため、手元の一台はまず安全圏といえます。火種はむしろ、忘れた頃のコールドバックアップに潜んでいます。
ここに日本ならではの事情も絡みます。写真や年賀状の素材、家族の動画を外付けHDDへため込み、実家の棚に置いたまま何年も触らない。そんな保管スタイルは今も一般的です。2015年ごろに暗号化したHDDなら、中身はまずHFS+とみてよいはずです。いざ思い出を掘り起こそうとした瞬間に開けない、という展開は避けたいところです。普段開けないドライブほど危険という皮肉を、頭に入れておきたいものです。
復号か再フォーマットか、判断の物差し
選ぶ基準は単純で、残したいデータがあるかどうか、その一点に尽きます。違いは次のとおりです。
| 項目 | 復号 | 再フォーマット |
|---|---|---|
| データ | 残せる | すべて消える |
| 作業の重さ | やや重い | 軽い(要・事前バックアップ) |
| 向いている人 | 中身を残したい人 | 中身が不要・バックアップ済みの人 |
再フォーマットは中身がすべて消えるため、必ず事前にバックアップを取りましょう。復号を選んだ場合も、最終的にはAPFSへ変換しておくのが無難です。非暗号化のHFS+のまま使う手も残りますが、長く安心して使いたいなら移行先はAPFSが最有力です。
注意したいのは、この復号が暗号化したTime Machineバックアップディスクには使えない点です。バックアップを暗号化ディスクで運用している人は、別の受け皿を用意しておくと安心です。個人情報を含むドライブなら、復号後にAPFSで再暗号化するまでを一続きの作業と捉えると安全です。
macOS 28への備えとして今できること
今回の一件は、単独の動きではありません。macOS 27 Golden Gateは、Time Capsuleなどが使ってきたAFP(Apple Filing Protocol)も廃止します。古い技術を一つずつ畳む流れを線で眺めれば、世代交代の総仕上げが進んでいるのが伺えます。
幸い、開発者向けベータの公開は2027年半ば頃で、正式版はさらに先の見込みです。準備期間はまだ1年以上あります。Appleはいずれ警告を強めるとみられますが、通知任せにせず自分の目で確かめるのが結局いちばん確実です。この1年を、古いドライブをMacに挿して対象かどうかを確かめる点検にあてましょう。思い出せるうちに動いておけば、更新の日が来ても慌てずに済みます。年に一度しか触らないドライブこそ、今この時期に向き合う価値があるはずです。
