Appleが製品を値上げした3つの理由〜円安・メモリ・ライセンス費用か

iPhone17

Appleは6月から7月にかけて、Mac・iPad・iPhoneからサブスクリプションまで幅広く価格を引き上げました。一斉値上げのように見えますが、その裏側には性質の異なる複数の要因が潜んでいるのが実情です。今回の値上げは、円安・メモリ高騰・ライセンス費用という3つの理由が同時に作用した結果とみられます。それぞれの背景を、順に切り分けて解説していきましょう。

目次

AppleがMac・iPadに続きiPhoneも値上げ

Appleの値上げは、6月25日のMac・iPadから始まりました。MacBook NeoやMacBook Air、無印iPadなどが対象で、この時点ではiPhone・Apple Watch・AirPodsは据え置かれています。

その約3週間後の7月18日未明に、iPhoneの全モデルが一斉に値上げされました。Apple WatchやAirPods、アクセサリー、さらにApple Music・iCloud+・Apple TV+・Apple Oneといったサブスクリプションまで、対象は一気に広がっています。モデルや容量ごとの新旧価格は、7月18日に実施されたiPhone全モデルの新旧価格で詳しく整理しました。

Appleが製品を値上げした3つの理由

一連の値上げは、ひとつの原因では説明できません。ハード・iPhone・サブスクリプションで、値上げを招いた事情がそれぞれ異なるからです。主な3つの理由を、順に見ていきます。

円安が押し上げたハードの価格

日本のハードの値上げで見逃せないのが、為替の影響です。7月の一斉値上げでは米国のApple Storeの価格が据え置かれる一方、日本の価格だけが引き上げられました。この非対称は、円安が主な要因であることを強く示しています。

ドル円相場は7月上旬に1ドル162円台をつけ、1986年12月以来およそ39年半ぶりの円安水準に達しました。ドル建ての価格が同じでも、円換算では割高になります。米国が据え置きのまま日本だけが上がった今回の構図は、為替の反映と考えるのが自然でしょう。

AIのHBM需要が招くメモリ高騰

世界共通の要因であるメモリの高騰も値上げの要因のひとつです。Appleのティム・クックCEOは、メモリとストレージのコスト急騰を「百年に一度の洪水」と表現し、値上げは避けられないと述べたと報じられています。

背景にあるのは、AIデータセンターによるメモリの奪い合いです。DRAM生産の9割超を握るSamsung・SK Hynix・Micronの3社は、利幅の大きい広帯域メモリ(HBM)へ生産をシフトさせています。HBMの利益率は約60%とされ、汎用DRAMの約40%を上回るため、AI向けが優先されやすくなりました。

iPhoneのメモリにも広がる余波

このしわ寄せが、iPhoneに搭載されるLPDDR5Xのようなスマホ向けメモリに及びます。ある製造ラインをHBMに割り当てれば、その分だけスマホやPC向けの供給が細るためです。半導体材料のヘリウムが中東情勢で逼迫していることも、コストを押し上げる別の要因として重なっているとされます。

こうした逼迫は一時的なものではなく、2027年以降も続く可能性があると海外メディアは報じました。メモリはもはや単なる部品ではなく、AIの拡大に価格を左右される戦略物資へと変わりつつあります。

ライセンス費用が上がったサブスクリプション

サブスクリプションの値上げを招いたのは、ハードとはまったく別の事情です。Apple Musicの値上げについて、Appleはライセンス費用の上昇を理由に挙げました。これは音楽の権利者へ支払うコストであり、メモリ不足や為替とは直接関係しません。

同じ「値上げ」という言葉でくくられていても、Apple Music・iCloud+・Apple TV+の月額改定は、部材や為替の問題とは切り離して捉える必要があります。値上げの原因は、決して一括りにはできないのです。

iPhone18 Proは1,399ドルに達するか

秋に登場が噂されるiPhone18 Proでも、値上げは避けられないとの見方が強まっています。海外の調査会社の試算では、開始価格が1,399ドルに達する可能性も指摘されました。iPhone17比で最大150ドル高になるとの予測もあり、いずれも値上げ方向で一致しています。

根拠のひとつが、部材コストの上昇です。iPhone17 Proの製造コストは約582ドルとされ、後継機では25%増の約726ドルに達すると推計されました。マージンを維持するなら、相応の値上げは避けにくいとみられます。

ここで見落とせないのは、Appleがこれまで部材価格の変動を自社で吸収し、消費者への転嫁を避けてきた企業である点です。今回の一連の値上げは、その方針を転換した節目とも受け取れます。ただし製品は未発表であり、最終的な価格は発表を待つ必要があるでしょう。

値上げが続くなら手持ちを長く使う選択も

値上げが続く局面では、いま使っている端末を長く使う選択も現実味を帯びてきました。新品価格が上がるほど、修理して使い続ける選択肢の価値は相対的に高まります。買い替えを迷ったときは、バッテリー交換と買い替えのどちらが得かを費用と使用年数の両面から見極めるとよいでしょう。

Photo:Apple

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