Appleが新型iPhoneを毎年9月に発表・発売する、3つの理由
Appleは毎年、新型iPhoneを9月に発表、発売しています。マンネリのようにも思えるこのスケジュールをAppleが維持している理由は3つある、とBloombergのマーク・ガーマン記者が指摘しています。しかし、最近は、Appleがこの日程を維持するのが難しくなってきているようです。
新型iPhoneの発表・発売時期が固定されている理由
Appleは毎年、6月にiOSなどの次期OSを発表し、9月に新型iPhoneを発表・発売するパターンを固定しています(数少ない例外は、コロナ禍の影響を受け10月発表となった2020年)。また、毎年ではありませんが10月にMacやiPadを発表する年も多くなっています。
Appleがこのスケジュールを固定している理由について、Bloombergのマーク・ガーマン記者は以下のように分析しています。
- Apple従業員:同じ目標に向かって仕事を進めるモチベーションになります。製品の発表・発売時期が固定されていることで、製品開発のスケジュール管理がしやすくなり、混乱を防げます。
- 投資家やアナリスト:業績への期待、見通しが立てやすくなります。Appleの売り上げが伸びる時期が毎年固定されることで、重要なの商戦期であるホリデーシーズンを盛り上げることができます。
- マーケティングや広報の計画:メディア関係者が夏休みから戻る秋にiPhone発表・発売をぶつけることで、メディアを巻き込んだ盛り上がりを演出できます。
なお、iPhoneの発表イベントは通常、アメリカの祝日レイバーデー(9月の第1月曜日)の翌週の火曜日か水曜日に開催されています。
製品群拡大の中、毎年の新製品発表が負担に
しかし、Appleの主要製品群は、売上高の半分程度を稼ぐiPhoneをはじめ、iPad、Mac、そしてApple WatchやAirPodsなどに拡大しており、ハードウェア製品と各製品向けのソフトウェア(OS)を毎年開発することの負荷が大きくなっています。
その結果、Apple Watchは従来の1年に1回の新製品発表・発売というスケジュールの維持が難しくなっており、Apple Watch UltraやApple Watch SEは新製品投入サイクルが2年に1回になるのではないか、とガーマン氏は指摘しています。
こだわりを捨てはじめたApple
Appleはすでに、例年のスケジュールから外れた製品発表を始めている、とガーマン氏は述べています。
2024年5月には、Macに先駆けて最新鋭チップを搭載したiPad Pro(M4)と、iPad Air(M2)を発表しています。
また、2023年1月にM2搭載MacやHomePod(第2世代)を投入しています。
例年、次世代OSの発表に注力することも多い6月の世界開発者会議(WWDC)ですが、新型Mac発表の場として使われることもあります。2023年には15インチMacBook Airを発表しているほか、2022年には筐体を刷新した新型MacBook Airを発表しています。
また、Apple IntelligenceをiOS18の公開当初からではなく、10月公開のiOS18.1から提供を開始し、その後も2025年春のiOS18.4に向けて段階的に公開する計画としているのも、ソフトウェア開発の時期をずらす方針の表れです。
進む発売時期の柔軟化、今後の新型iPhoneの発売時期は?
Appleは準備ができしだい新製品を発表する、という柔軟な発表スケジュールをさらに進めていくべきだろう、とガーマン氏は指摘しています。
それでもAppleは経営戦略上、新型Phoneを毎年発売し続けるだろうが、それ以外の製品については毎年の発売にこだわらない姿勢になっている、とガーマン氏はコメントしています。
Source: Power On/Bloomberg