Apple Store未開封のiPhoneを検査する仕組みを導入〜返品時の不正対策

Apple Storeで、箱を開けずに返品されたiPhoneを検査する新たな仕組みが導入され始めたと、Bloombergのマーク・ガーマン記者が報じました。iPhone本体や内部の部品などを抜き取って返品する不正を防ぐことが目的です。
iPhone本体や部品を抜き取る返品不正が問題に
ガーマン記者によると、Apple Storeでは購入したiPhone本体や内部の部品、付属品などを抜き取り、中身がそろっていない状態で返品する不正が増えているといいます。こうした不正を防ぐため、これまではスタッフが返品されたiPhoneの箱を開け、中身を確認する必要がありました。
しかし、この方法では、未開封のまま返品された製品も開封しなければならないという問題がありました。
箱を開けずにiPhoneの状態を確認
今回導入された仕組みでは、専用の装置を使い、箱に入ったままのiPhoneをスキャンして本体の状態を診断します。診断で問題が見つからなければ、箱を開けずに在庫へ戻せるため、返品された製品を効率よく再販売できるようになります。
ただし、箱の中にあるケーブルなどの付属品まで確認できるかは明らかになっていません。また、Appleは今回の診断機能について公式には未発表のままです。
iOSのアップデートに使われてきた「Presto」を活用
MacRumorsによると、今回の検査にはiPhoneを箱から取り出さずにiOSをアップデートできる既存の装置が使われています。この装置は2024年に「Presto」という名称で報じられたものとみられます。
Prestoは最大6台のiPhoneを設置できる棚型の装置で、MagSafeなどのワイヤレス技術を利用します。箱を開けることなくiPhoneの電源を入れ、15分〜30分ほどでiOSをアップデートした後、自動的に電源を切る仕組みです。
2024年4月からは、全米のApple Storeへの導入が進められました。また、Prestoには在庫管理を支援する機能もあります。iPhoneが売れると同じモデル・カラー・ストレージ容量の在庫について、アップデートが必要なことをスタッフに通知します。
最近では、米国のApple Storeで販売されたiPhone Duoの初期設定画面に購入者の名前を表示する機能にも活用されたと報じられています。これまで主に販売前のiPhoneの準備に使われてきたPrestoが、返品された製品の検査にも活用されることになります。
Apple Storeでは偽造品を使った交換詐欺も発生
Apple Storeの返品・交換制度を悪用した不正は今回が初めてではありません。米司法省は2024年、偽造したApple製品を正規品と偽り、本物と交換させていたとして、中国籍の5人を起訴したと発表しました。
司法省によると、2015年12月頃から2024年3月までに、カリフォルニア州南部のApple Storeなどで、16,000台以上の製品について不正な交換や交換未遂が行われたとされています。偽造品には正規品のシリアル番号が使用されており、Appleの損害額は少なくとも1,230万ドルにのぼるとされています。
今回問題となっている中身の抜き取りとは異なる手口ですが、Apple Storeの返品・交換制度が不正の標的になっていることが分かります。
日本のApple Storeにも導入されるかは不明
今回の診断機能について、導入が始まった国や地域は明らかにされていません。Prestoは2024年に米国のApple Storeへの導入が報じられました。一方、日本国内での導入状況は未確認です。そのため、今回の診断機能が日本のApple Storeでも利用できるようになるかはまだわかりません。
Appleの日本向け販売条件では、製品の受け取りから14日以内であれば、所定の条件を満たすことで返品・交換が可能です。返品する際は、購入時のパーツやアクセサリー、パッケージをすべてそろえ、元の状態に戻す必要があります。また、返品された製品は検査が必要になる場合があることも明記されています。
今後、日本のApple Storeにも今回の診断機能が導入されれば、未開封で返品されたiPhoneを、箱を開けずに検査できるようになる可能性があります。

