【解説】iPhoneの非正規修理業者が逮捕!非正規の修理とは?

    iPhone 故障 修理 フリー PhotoAC

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    京都市などで展開するiPhone修理事業者「アップルズドクター」の社長、牛丸善明容疑者ら男4人が、Apple社の偽のロゴマークをつけた修理部品を販売目的で所持していたとして、商標法違反で逮捕されました。

    逮捕容疑は偽のAppleロゴつき部品を有料修理目的で所持

    報じた産経Westによれば、牛丸容疑者が運営する非正規のiPhone修理サービス「アップルズドクター」は京都市内や大津市内などで展開しており、このうち4店舗で、偽のiPhone用バッテリーや充電器を販売目的として所持した疑いがあります。
     
    京都府警によると、店舗ではバッテリー交換を11,800円、画面破損の修理を16,800円からで請け負っていたとのことで、これらの修理の際に、偽のAppleロゴをつけたバッテリーやディスプレイを取り付けていたとみられます。
     
    今回の事件は、Appleのロゴを不正に使用した部品を販売目的で所持したという商標法違反での容疑ですが、交換パーツが非純正であるということは、正常に動作しない場合や新たな不具合を生む可能性も否定できません。非正規業者による修理はさまざまなリスクもあります。

    非正規業者で修理するメリットとデメリット

    iPhoneなどのApple製品を修理するには、製品をAppleに郵送する「配送修理」と、Apple Store直営店またはApple正規サービスプロバイダに持参する「持ち込み修理」の2つの手段があります。修理費用は保証対象であるか否か、故障の種類や状態にもよりますが、数万円かかることもあります。
     

    iPhone 故障 修理 フリー PhotoAC

    Photo: AppleのiPhone修理ページより

     
    正規の修理費用よりも安価で修理できるとして利用者も多いのが、非正規の修理サービスです。iPhone Maniaでは昨年4月、編集部員が自身のiPhoneの修理のため非正規の修理を受けたレポート記事を掲載しました。全国各地にさまざまな業者が展開していますが、非正規で修理を受けることはメリットとデメリットがあります。
     

  • メリット
  • ・修理に際し、iPhoneのデータを消去しなくても良い場合が多い
    ・正規修理よりも修理時間が短い場合が多い
    ・正規修理よりも修理費用が少し安い
     

  • デメリット
  • ・交換パーツが非純正品の可能性がある
    ・端末がAppleの保証対象外になる可能性がある
    ・端末に新たな不具合が発生する可能性がある

     

    総務省の登録修理業者制度

     
    携帯電話を分解すると、電波法で定めている電波の性能など(技適)を満たさなくなる恐れがあるため、2015年4月より、第三者による携帯電話端末修理に関する法律を改正した「登録修理業者制度」が設けられました。総務大臣から登録を受けることで”お墨付き”を得る仕組みです。
     
    登録修理業者に認定されていない業者で修理を受けると、行った作業によって電波法違反になる可能性もあるのですが、登録修理業者での修理であれば、法律に則ったサービスを受けられます。事業者選びのひとつのポイントといえます。
     
    登録修理業者は近年増加傾向で、今年4月に店頭修理サービスのネット予約が可能になったゲオも登録修理業者です。事業者名やその事業者が修理可能な範囲などは、総務省のWebサイトで公開されています(PDF)。
     
    とはいえ、Appleの正規の修理手段ではないため、現時点の仕組みでは、登録修理業者から受けた修理でも、Appleの保証対象外となる可能性があります。
     

    iPhone6の「エラー53」問題

     
    また非正規修理を行ったことで端末に不具合が生じた例は、iPhone6の「エラー53」問題です。2014年に発売されたiPhone6では、非正規で修理をした端末でiOSをアップデートすると「エラー53」と表示され、端末が復元できなくなることが2016年2月に報じられました
     
    Appleは同月、対処方法を公開しましたが、アメリカではこの問題は訴訟にまで発展しています。

    非正規修理で保証外となる方針、Appleは緩和の意向

    今回摘発された京都の事業者は、Appleから京都府警への情報提供により逮捕に至ったものですが、Appleは今年に入り、非正規の修理を受けたApple製品への方針変更の意向があると度々報じられています。
     
    これまでは非正規の手段でApple製品を修理した場合、端末の購入時につく製品限定保証やAppleCareによる保証のサービス期間内であっても、修理以降は保証の対象外となっていました。今年2月に報道されたAppleの社内向けメモによると、Apple以外で修理した場合でも今後は保証の対象とする方針のようです。ただしこれはディスプレイ以外の修理に限るとしています。
     
    3月には、非正規業者で修理したり、他社製部品を使って修理したiPhoneも、購入後1年間の保証期間内なら条件付きの修理が可能になる方針が報じられています
     
    非正規修理による最大のデメリットであった「Appleの保証から外れる」可能性が緩和されることで、今後も非正規業者による修理サービスは人気を集めると思われますが、修理を検討される場合は、仕組みとリスクを十分に理解したうえで利用しましょう。
     
     
    Source:産経West, Apple, 総務省
    (asm)

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