ジョブズ氏が毛嫌いしていたOSのパブリックベータ、Appleが開始した理由

    iOS10

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    Appleが、登録ユーザー向けのパブリックベータプログラムを開始した理由を、ティム・クックCEOとエディ・キュー上級副社長が明かしました。

    ジョブズ氏、パブリックベータプログラムが大嫌いだった

    現在、AppleはiOSやmacOSなどのOSのベータ版を開発者向けに公開しているほか、登録ユーザー向けにパブリックベータを公開しています。パブリックベータプログラムには、Appleのサイトで登録すれば誰でも参加することができます
     
    現在、今秋の一般公開に先立って、iOS10でもパブリックベータが公開されており、現時点では日本時間8月3日に公開されたiOS10パブリックベータ3が最新バージョンとなっています。
     
    ベータプログラム
     
    しかし、一般ユーザーに未完成のOSを公開するパブリックベータプログラムを故スティーブ・ジョブズ氏は毛嫌いしていたそうで、ジョブズ氏はベータ版の提供を開発者に限定していました。
     
    それでもAppleが、パブリックベータプログラムを開始した真相を、ティム・クックCEOとエディ・キュー上級副社長が、経済メディアFastCompanyのインタビューで語っています。

    きっかけはiOS6の地図アプリ

    Appleが2012年にリリースしたiOS6の最大の特徴は、それまで標準搭載していたGoogle Mapから、自社製のマップアプリへと切り替えたことでした。
     
    Appleが自信満々にリリースした自社製地図アプリですが、世界からの評判は散々なもので、日本でも「パチンコガンダム駅」が出現したり、羽田空港に「大王製紙」と書かれていたりと、話題になりました。
     

    iOS6 マップ iOS6 マップ

     
    ティム・クックCEOが公式に謝罪、担当役員が更迭され、世界にとんだ赤っ恥をさらすこととなった大失敗をきっかけに、世界のユーザーに不具合を指摘してもらうパブリックベータプログラムの開始が検討された、とのことです。

    「地図を甘く見ていた」

    「クパチーノ(Appleの本社所在地)にいる私たちには、マップアプリは上出来に見えた」「地図という製品の複雑さを甘く見ていた」とエディ・キュー氏は当時を振り返ります。
     
    当時の経営陣は、iPhoneの標準地図をGoogle Mapなどのサードパーティアプリに戻すのか、自社製地図アプリの開発を継続するのか、議論の結果、自社製アプリの改善を続ける決断を下します。
     
    現在、アップル製地図アプリは精度が向上し、乗換案内や周辺施設検索などの便利な機能が続々と提供されています。

    ソフト開発プロセスを全面見直し

    一般ユーザー向けに未公開OSを提供するにあたり、「ソフトウェア開発のプロセスを全面的に見直した」とキュー氏は語ります。
     
    iOS向けには、2015年3月のiOS8.3からパブリックベータの提供が開始されました。その後のiOS9、そしてiOS10といったメジャーアップデートの際も、正式版公開に先立って、世界中の登録ユーザーから不具合の報告を受けつけています。

     
     
    Source:Fast Company
    Photo: ITmedia
    (hato)

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