Apple Vision Pro、アプリの提供がネックに?開発者らは慎重姿勢
Appleが2024年に販売を開始するVision Proは、対応する魅力的なアプリの充実が成功の鍵を握るとみられます。ただし、Vision Proの市場規模が小さいことから開発者らは開発費用を投じることに慎重であり、当初はiPad用から移植したアプリが多くなるのではないか、とBloombergのマーク・ガーマン記者が伝えています。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. Appleは、Vision Pro向けApp Storeを活性化したいと考えている。
2. 開発者としては、市場規模の小さいVision Pro向けの新規開発には慎重。
3. 当初のVision Proはビデオ視聴が主な使い方になると予想される。
Vision Pro向けApp Storeを活性化したいApple
Appleが運営するApp Storeは、iPhoneやiPad、Mac向けストアは活況ですが、Apple WatchやApple TV向けApp Storeは対応アプリが少ないこともあり、利用者も少ない状況にあります。
Appleは、Vision Pro向けApp Storeを活性化するため、アプリ開発者に多くのアプリをしてもらおうと考えているようです。
Vision Proアプリには3つのタイプ
ガーマン氏は、Vision Pro向けアプリとして、以下の3タイプが登場するだろう、と予測しています。
- visionOSのウインドウとして動作する、iPhoneやiPadアプリ。開発者は追加の作業をする必要がなく提供可能。
- VisionOSのネイティブアプリとして提供される、iPad向けをもとにしたアプリ。開発者は複合現実(MR)向けにユーザーインターフェイスを手直しする必要がある。
- まったくゼロから開発され、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)で動作する、visionOS向けアプリ。Vision Proの高解像度ディスプレイ、目と手の動きによる操作に対応する。
Appleは、Vision Pro専用アプリを開発してもらうため、アプリ開発者らが早期にVision Proを入手するための申請受付を開始する、とガーマン氏は伝えています。
多くのiPadアプリがVision Pro向けに移植される?
多くのiPadアプリ開発者にとって、労力をかけずに既存のアプリをVision Pro向けとして販売できるため、当初から多くのiPadアプリがVision Pro向けとして提供されるだろう、とガーマン氏は見ています。
ただし、Vision Proを購入したユーザーはiPad向けアプリがそのまま提供されることには不満を感じるとみられます。
開発者はVision Pro向けアプリ開発に慎重姿勢
仮装現実(VR)分野の著名開発者はガーマン氏に、市場規模の小さいVision Pro向けアプリの開発に費用を投じることに慎重であり、Vision ProがVR向けコントローラーに対応しないため、他のVR向けコンテンツやゲームからの移行が難しい、という話を聞いているそうです。
著名開発者は、Vision Pro向けにアプリを開発するなら、Appleから開発費が提供されるか、話題作りのためだろう、とも語っています。
Vision Pro用アプリは高価に
Vision Proの発売当初、専用開発されたアプリは、グラフィックデザインなど業務向けの50ドル〜250ドル(約7,000円〜約35,000円)と高価なものが多くなるのではないか、とガーマン氏は推測しています。
また、Vision Pro向けゲームアプリは、iPhoneやiPad向けよりも低いクオリティながら価格はゲーム専用機向け並みの40ドル〜60ドル(約5,500円〜約8,500円)になるだろう、とも述べています。
NetflixはVision Pro向けアプリ提供計画なし
結局、発売当初のVision Pro はビデオストリーミングの視聴デバイスとしての使い方がメインになるのではないか、とガーマン氏は予測しています。
ビデオストリーミングの分野では、Disney+やAmazon Prime VIdeoから提供を受けるコンテンツが主流になると見られます。
ただし、NetflixはVision Pro向けにアプリを開発する計画はなく、iPad向けアプリをそのままVision Proで動作させる計画のようです。
また、ビジネス向けアプリはMicrosoft、ZoomなどがVision Pro向けアプリを提供する模様です。
なお、考えられるVision Proの用途については、米メディア9to5Macも考察しています。
Source:Power On/Bloomberg
(hato)