Xiaomi、2015年売上目標達成できず~投資家の信頼失う

Xiaomi スマートフォン 特許

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中国のXiaomiは昨年3月、2015年に8,000万~1億台のスマートフォンを販売すると宣言、話題を呼びました。しかし8,000万台の目標が達成できなかったことが、関係者筋から明らかになり、460億ドルとされる同社の時価総額にも、疑問を投げかける声が高まっています。米Wall Street Journalが報じています。

中国市場首位の座、Huaweiに譲り渡す

Xiaomiは2014年に、前年比の3倍となるスマートフォンを売り上げ、一躍中国スマホ市場のトップメーカーに躍り出ました。同社を率いる雷軍CEOは、iPhoneそっくりなハードウェアと低価格を武器に、数量限定で割引販売する「フラッシュセール」を行い、主に若者層に売り込むことに成功しています。しかし利ざやは薄く、雷軍CEOはあとからユーザーにサービスを売ることで、取り返そうと考えていました。
 
ところが一時は飛ぶように売れたXiaomiのスマホも、今では普及したため、ユーザーの関心が低下した、とアナリストらは分析しています。
 
また中国のスマートフォン市場の成長鈍化も、Xiaomiには悪い方向へ働いているようです。調査会社Canalysによれば、2015年第3四半期には、同社よりも技術面でも財政面でも力のあるHuaweiが、中国スマートフォン市場首位の座をXiaomiから奪っています

海外に弱いXiaomi

売上のほとんどを国内に依存しているのもXiaomiの弱点です。Canalysによれば2015年1月~9月における海外での売り上げ台数比率はわずか8%、前年同期から1%しか伸びていません。また特許の所有が少ないことも、インドなどの海外市場進出の際の障害となっています。
 
また投資銀行China First Capitalは、頼みの綱の中国国内市場においても、同社のユーザーは「18歳~30歳の男性」がほとんどで、広がりがないと指摘しています。この要因のひとつになっているのが低価格戦略です。

低価格機種しか売れない

調査会社IDCによると、中国のユーザーが徐々に高価格帯のスマホへと関心を移しているにも関わらず、Xiaomiの2015年第3四半期の平均販売価格は122ドルで、前年同期の160ドルから下がりました。中国市場全体では202ドルから240ドルへと上昇し、ライバルのHuaweiの平均販売価格も201ドルから209ドルへと上がっています。
 
Xiaomiの2015年のベストセラー機種は、同社モデルのなかでも最も安い「Redmi 2A」(76ドル)です。
 
これに対し、Xiaomiの目標はスマホを中心とした「スマートホーム」構築であり、これまでスクーターのSegwayから空気製造機メーカーに至る56社のスタートアップを買収、展望は明るいとする見方もあります。
 
しかし厳しい意見も少なくありません。Xiaomiの場合、スマートホームを含む新たな取り組みはまだひとつも実現しておらず、現時点ではあくまで計画に過ぎないからです。
 
Xiaomiが単なる薄利多売のスマートフォンメーカーから脱却することができるのか、今年は正念場となりそうです。
 
 
Source:Wall Street Journal
(lunatic)

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この記事を書いた人

元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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