Apple Watchの販売停止は避けられるのか〜特許回避に奔走するApple
Appleは特許侵害の判定により輸入禁止になるのを見込んで、最新モデルであるApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の米国内での販売を停止する見通しです。
しかしAppleは特許侵害を回避するため、問題となっている血中酸素濃度測定機構のアルゴリズムを変更するソフトウェアの開発に奔走していると、米メディアBloombergが報じています。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. ITCはAppleがMasimoの特許を侵害していると認定。
2. Appleは輸入禁止に備え、Apple Watch S9/Ultra 2の販売を停止する。
3. 特許侵害回避のためAppleはソフトウェアの開発に尽力しているとの情報。
ITCはAppleが特許を侵害していると認定
Apple Watchが搭載する血中酸素濃度測定機構をめぐっては、医療機器メーカーのMasimoが2021年よりAppleの特許侵害を訴えており、両社は係争中です。
米国際貿易委員会(ITC)は2023年1月に、Appleが血中酸素濃度測定機構(血中酸素ウェルネス)において、Masimoの特許を侵害していると認めました。
12月25日が大統領検討期間の期限
そしてITCは2023年10月、同機構を搭載するApple Watchの米国内への輸入を禁じるとの決定を下しました。ただしこれは最終決定ではありません。
ITCの判決後、60日間の大統領検討期間が設けられており、米国大統領は期間中にITCの決定を覆すことができます。この期限は2023年12月25日です。
つまり12月25日までにバイデン大統領がITCの決定を覆さなければ、Apple Watchの米国内への輸入は禁じられます。
オンラインでは12月21日、実店舗では24日から販売停止に
AppleはApple Watchの輸入禁止措置を見込み、Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2のオンラインストアでの販売を12月21日から、実店舗での販売を24日から停止する決定を下した訳です。
しかし12月はまさにクリスマス商戦の真っ只中。最新モデルであるApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売停止はAppleにとって大打撃です。
したがってAppleがソフトウェアの開発を含め、特許侵害を回避するための対策を急ぎ講じているというのは、ある意味当然といえるでしょう。
Masimoは「ハードウェアの変更が必要」と主張
Bloombergによると、Appleの技術者らは現在、ユーザーの血中酸素濃度を測定するためのアルゴリズムを変更し、特許侵害を回避するためのソフトウェアの開発に尽力しているとのことです。
ただしMasimo側は、ソフトウェアでは同社の特許に抵触しないようにするのは不可能であり、「ハードウェアの変更が必要」と主張している模様です。
Photo:Masimo
(lunatic)