Apple副社長、Googleに対抗して“Appleサーチ”を作る予定はない
Appleでサービス担当上級副社長を務めるエディー・キュー氏が、少なくとも近い将来、Googleに対抗するような検索エンジンを開発するつもりはないとの考えを持っていることが分かりました。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. エディー・キュー副社長がGoogleと米司法省との独禁法裁判で証言予定。
2. デフォルト設定のためにGoogleは毎年1兆円超をAppleに支払っている。
3. Appleとしては自社開発の検索エンジンを作る予定はない模様。
Googleとの契約を今後も維持
米司法省がGoogleを独占禁止法(反トラスト法)違反で訴えた裁判で近日、Appleのサービス部門を統括する重鎮エディー・キュー副社長が証言を行う予定です。
Apple屈指の大物とあって、キュー氏がどのような内容を話すのかに注目が集まっていますが、CNBCによると、基本的にはGoogleが交わした契約を今後も維持していく意志を表明する見込みです。
独禁法裁判にはAppleも深く関係
Googleが米司法省から目をつけられたのは、Safariのデフォルト検索エンジンにしてもらうため、同社がAppleに年間1兆円以上を支払っていることが発覚したためです。莫大な資金力に物を言わせ、他社との健全な競争を阻害しているとして、米司法省は2020年10月に独占禁止法違反でGoogleを提訴しました。
正確な額は公式発表されていませんが、2020年に約100億ドル(約1兆4,800億円)、2021年に約150億ドル(約2億2,300億円)、2022年に約200億ドル(約2兆9,600億円)と、桁違いの資金がGoogleからAppleに流れているのではないかと考えられています。
「Googleは最高の検索エンジン」
過去にティム・クック最高経営責任者(CEO)が「彼らの検索エンジンは最高だと思う」と述べたように、エディー・キュー副社長も証言台では、Googleと契約する意義を強調する見通しです。
またキュー副社長は、Googleという圧倒的な検索エンジンがすでに存在しているため、Appleは独自の“Appleサーチ”を作る理由がないとも考えているそうです。
非常に優れたGoogleマップに対して、独自の「マップ」で対抗していることを思うと、Appleが検索エンジン分野に今後進出する可能性がゼロとは言えません。
しかし、SafariでGoogleをデフォルトに設定するだけで年間1兆円超も入ってくるほか、そもそもApple自体が広告ビジネスで収益を上げる事業モデルではないため、自前の検索エンジンを作るメリットが低いのも確かです。
Source:CNBC via AppleInsider
(kihachi)