絵文字を送る時は要注意!送ると「契約締結」になってしまう可能性

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今後、絵文字を使う際には注意が必要になるかも知れません。カナダの裁判官が、「サムズアップ(手を握り、親指を上に立てたポーズ)」の絵文字をメッセージ内で送ったら、法的に契約を結んだことになる可能性があるとの判決を下したからです。

■3行で分かる、この記事のポイント
1. 亜麻の納品契約書に対し、農家は絵文字のみで返信した。
2. 会社側はそれを契約の合意と受け取ったが、農家は契約書受領の意味だったと反論。
3. 裁判所は両者がすでに口頭で合意していたとし、絵文字を契約書合意の意味と判断した。

メッセージに絵文字だけで返信

カナダ・サスカチュワン州裁判所の文書によると、サウスウェスト・ターミナル(SWT)の穀物購買担当者は2021年3月、同社が86メートルトンの亜麻を探しており、1ブッシェルあたり17カナダドルで購入したいとのメッセージを、多くの農家に対して送信しました。
 
これに対し農家のクリス・アクター氏から連絡があり、SWTの購買担当者とアクター氏は電話で金額を含む内容および2021年11月という納期に合意。その後SWTは契約書を作成し、それを撮影した画像を添付して「契約を確認してください」という内容のテキストメッセージを送信しました。
 
アクター氏はこのメッセージに、サムズアップの絵文字のみで返信したそうです。
 
しかしアクター氏は2021年11月に、86メートルトンの亜麻を納品しませんでした。亜麻の価格は同時期には1ブッシェル41ドルまで値上がりしていたそうです。
 
SWTは契約違反だとしてアクター氏を提訴しました。

絵文字の意味が争点に

ここで争点となったのが、アクター氏が送ったサムズアップの絵文字の意味です。
 
SWTは契約書の画像を送信するまでのやり取りから、アクター氏のサムズアップの絵文字は「契約に合意した」という意味に受け取ったと主張しました。
 
これに対しアクター氏は、絵文字はあくまでも「契約書を受け取った」という意味であり、「契約に合意した」という意味ではなかったと反論しています。

裁判所は絵文字が契約への同意を示しているとの判決

カナダ・サスカチュワン州裁判所の裁判官は、契約書送信前の両者の電話でのやり取りの段階ですでに口頭で合意に至っているように見えるとし、今回のケースについてはサムズアップの絵文字が亜麻納品の契約への同意を表していると判断できると述べています。
 
裁判所はアクター氏に対し、82,000カナダドル(約876万円)及び利子、そして亜麻の納入不履行に伴う費用の支払いを命じました。

 
 
Source:CanLII via AppleInsider,The Guardian
Photo:Pixabay
(lunatic)

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この記事を書いた人

元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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