学校配布のChromebook寿命は3年未満?税金無駄遣いと電子ゴミ増大の元との指摘

Chromebook


 
アメリカ、そして日本でも多くの小中学校および高校に配布されているChromebookですが、安価である一方、壊れやすく寿命が短いため、膨大な電子ゴミを増やすだけでなく、税金の無駄遣いになっていると、アメリカの非営利団体が指摘しています。

日本の学校でもシェアトップのChromebook

Chromebookはその値段の安さから、以前より教育現場において人気がありましたが、コロナ禍で自宅学習の機会が増大、出荷台数を大きく増やしました。
 
日本の学校教育においてもChromebookは広く利用されています。文部科学省が2021年8月に発表した「GIGAスクール構想に関する各種調査の結果」によると、2021年7月時点における学習用端末(ノートPC/タブレット)のOS別台数シェアにおいて、ChromeOSは40.1%とシェアトップでした(2位はWindowsで30.4%、3位はiOSで29.0%、4位はAndroidやmacOSを含むその他で0.5%)。

修理用部品がない?修理費用も高額

しかしアメリカの非営利団体US Public Interest Research Group (PIRG)が調査したところ、たった3年前に購入されたChromebookの多くがすでに壊れて使えない状態となっていることがわかりました。
 
使うのが児童ということもあり、扱いが雑になりがちなのは仕方がないこととはいえ、問題なのは「修理用部品の欠如と修理費用の高さ」だとPIRGは指摘します。
 
たとえばキーボードの交換が必要なAcer Chromebook 29台のうち、14台分の交換用キーボードは在庫がありませんでした。またこれら29台のうち、10台のキーボード交換費用は1台につき約90ドルでした。この金額は新品のChromebookの価格のほぼ半額に相当します。
 
そのほかPIRGの調査では、HP製Chromebookにおいて、あるひとつのモデルのACアダプタと電源コードのみ在庫があるだけで、それ以外の部品の在庫はなかったそうです。

自動更新の有効期限が再販のネックに

Chromebookを含むChromeデバイスには「自動更新の有効期限(AUE)」が存在しています。これはソフトウェアのアップデートが一定期間経過後に終了することを意味しており、有効期限が切れるとソフトウェアアップデートができなくなり、技術サポートも提供されなくなります。
 
GoogleはChromebookについて8年間ソフトウェアアップデートを提供するとしていますが、この8年というのはあくまでもそのChromebookの「発売日から8年」を意味しています。しかし学校の場合、発売から数年が経過したChromebookを購入するケースが多いため、8年間アップデートを受けられることはまずありません。
 
またこの自動更新の有効期限のため、PCやMacのように再販することも難しくなっています。つまり学校は一定期間が経過したChromebookを再販も修理もできず、廃棄するしかない状況に陥っていると、PIRGは指摘しています。
 
ユーザーの「修理する権利」を訴えている、ガジェットの分解で有名なiFixitはPIRGに対し、「Chromebookは長く使い続けられるように設計されていない。『自動更新の有効期限』があるために、まだ使える状態のハードウェアが無駄になっている。お金と資源の無駄遣いはやめるべき」とコメントしています。

寿命を延ばし、交換用部品を共有可能とすべき

PIRGは、2020年に販売された約3,180万台のChromebookの寿命を2倍に延ばすことができれば、460万トンの二酸化炭素が削減可能と見積もっています。これは90万台の自動車の走行を1年間停止することで削減できる二酸化炭素量に相当します。
 
寿命を延ばす方法としてPIRGは、Googleがソフトウェアアップデートの提供期間を延ばし、各Chromebookメーカーが交換用部品の在庫を10%増やすとともに、これらの部品をメーカーを問わずすべてのChromebookで共有できるようにすることを提案しています。

 
 
Source:PIRG,Engadget, 文部科学省(PDF),Google
(lunatic)

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