Appleはエンタメ文化に慣れていない?Apple TV+に「限界が来る」との指摘も

    Apple TV+

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    念願のアカデミー賞を獲得し、スポーツ配信にも乗り出すと噂されているApple TV+ですが、急激な業務の展開やAppleのスタイルに現場では戸惑いが発生しているようです。

    Appleのやり方に「もどかしさ」

    「テッド・ラッソ」でゴールデングローブ賞、「CODA」でアカデミー賞を獲得したことで、Apple TV+は一つの目標をクリアしたといっても過言ではありません。特に動画ストリーミングサービスで鎬(しのぎ)を削るNetflixよりも早く、アカデミー賞で作品賞を獲得したことは、Appleにとって大きな自信となったはずです。
     
    しかし、映画やドラマを現場で作成するプロデューサーたちは、Appleがエンターテインメント業界に慣れていないことに、一種の「もどかしさ」を感じているそうです。
     
    ニュースサイトBusiness Insiderが、ハリウッドやAppleに関わる複数の業界関係者に取材を行ったところ、Appleのやり方がかえって自分たちの首を絞めている例がしばしば聞かれたとのことです。

    秘密主義がプロモーションで後手に

    最も代表的なのが、Appleの秘密主義です。同社は発表会ぎりぎりまで新製品の詳細を伏せておく傾向にありますが、これが新ドラマシリーズや映画でも徹底された結果、マーケティング計画が土壇場でずさんになってしまうこともあるのだとか。
     
    また、Appleが契約締結前にApple TV+でストリーミングを開始し、結果的に支払いが遅れたこともあったそうです。インタビューに応じた関係者は、「支払い条件をできるだけ引き延ばすのは、彼らの企業文化の反映だ」とし、ハリウッド業界とは勝手が違うと不満を顕わにしました。「本当にイライラする」
     
    Appleがエンターテインメントの慣習や法律に不慣れであり、なおかつ自分たちの企業文化を貫くことについて、「彼らはまだコンテンツではなく、iPhoneのようなマーケティングをしている」と指摘する声もインタビューでは聞かれました。
     
    別の情報筋も「限界が来るだろう」とし、「人びとは薄く引き伸ばされ、働きすぎている」と警戒を口にします。Appleが全米プロフットボールリーグ(NFL)の配信にも意欲を見せていることを思えば、今後関係者にさらなるプレッシャーがもたらされる可能性もあります。

    今は足場を固めている段階?

    しかし、Appleのビジネススタイルを称賛する声も聞かれました。「彼らはプロのパートナーだ」と語った事情通は、同社が「目標としたものは何でも実現させることができる」とし、「足場を固め始めている」段階だと強調しました。
     
    確かに、Apple TV+は2019年11月にサービスが始まってから3年足らずで、アカデミー賞まで獲得しています。勢いはNetflixやDisney+に劣るかもしれませんが、「逆張りする(失敗に賭ける)べき会社でない」ことは、先述の事情通が語るまでもなく、誰の目にも明らかでしょう。
     
     
    Source:Business Insider
    (kihachi)

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