Apple、サプライチェーンへの中国メモリメーカー追加を検討か
AppleがiPhone向けとして、中国メーカーを含む新たなメモリチップサプライヤーを探しているようです。
キオクシアでの不純物混入事件が理由
Bloombergによると、Appleがサプライヤー追加の検討を開始した背景には、今年2月にキオクシアのメモリ生産工場で起きた不純物混入事件があるようです。
Appleはこうした事故や、COVID-19によるパンデミックが発生した場合のリスクを最小限に抑えるため、メモリサプライヤーを増やす方向で動いている模様です。
YMTCが候補に
Bloombergが関係者から得た情報によると、Appleは現在、YMTC(Yangtze Memory Technologies、長江メモリ)において、NANDフラッシュメモリのサンプル生産を行っているとのことです。Appleは数カ月前より、YMTCと提携について話し合いを進めているものの、現時点では合意に至っていないと同メディアは伝えています。
YMTCは2016年、湖北省地方政府、中国国立のビッグファンドである中国集積回路産業投資ファンドおよび紫光集団によって、武漢に設立されたメモリ半導体メーカーです。
初の中国メモリサプライヤーになる?
Appleのメモリサプライヤーには現在中国メーカーは存在せず、YMTCが選ばれればAppleにとって初の中国メモリサプライヤーとなります。
しかし米中経済摩擦、そしてウクライナ侵攻における中国のロシア寄りの姿勢といった現状を鑑みると、YMTCとの提携はAppleにマイナスに作用する可能性があると、Bloombergは指摘しています。
いずれにしても、YMTCによるApple向けメモリのサンプル生産が正規契約につながる保証はなく、現時点ではAppleがサプライヤーリストへの追加を検討する候補の1社でしかないようです。
事実、現在Apple向けにディスプレイを供給する中国BOEが実際に正規サプライヤーとなるまでにも、同社が試験生産を開始してから数年かかっています。