ソフトバンクとNIMS、リチウムイオンの半分以下の重さにできるバッテリーを開発

リチウム空気電池のスライド

リチウム空気電池のスライド
 
スマートフォンに使われる部品の小型化や実装技術の向上に比べて、バッテリーとして使われるリチウムイオン電池は容量を維持したまま小型化することが難しく、スマートフォンの体積に占める割合が高くなっています。
 
ソフトバンクと国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)が開発したリチウム空気電池はリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高く、スマートフォンを始めとするモバイル端末の小型軽量化に寄与するかもしれません。

重量エネルギー密度がリチウムイオン電池の倍以上のリチウム空気電池

ソフトバンクとNIMSが開発したのは、リチウム空気電池と呼ばれる二次電池です。
 
リチウム空気電池は負極活物質を金属リチウム、正極活物質を空気中の酸素とした電池であり、理論的には重量あたりのエネルギー密度が現状スマートフォンなどに用いられているリチウムイオン電池よりも遙かに高いのが特徴です。
 
バッテリーメーカーのベイサンによるとリチウムイオン電池の重要エネルギー密度が200Wh/kg程度であるのに対し、今回ソフトバンクとNIMSが開発したリチウム空気電池は500Wh/kg以上であり、同じ容量を維持しながらバッテリーの重さを半分以下にできます
 
リチウム空気電池自体は比較的昔から研究がおこなわれている二次電池ですが、500Wh/kg級リチウム空気電池の室温での充放電反応を実現したのはこれが世界で初めてとのことです。

充電可能回数の向上が課題

ソフトバンクとNIMSが公開した画像によると、今回開発されたリチウム空気電池は充電サイクル数100回未満で重量エネルギー密度が半分以下に落ち込んでいます
 
リチウム空気電池の充電サイクル数と受領エネルギー密度の関係
 
リチウムイオン電池の場合、たとえばAppleは最近のMacBookにおいて1,000回充電しても本来の蓄電容量の最大80%を維持できるとしており、現状のリチウム空気電池はまだ実用化からは遠いといえるでしょう。
 
ソフトバンクとNIMSは現在開発中の改良材料群を搭載することで、サイクル寿命の大幅増加を図り、リチウム空気電池の早期実用化につなげるとしています。
 
一方、業界ではリチウムイオン電池の改良も続けられており、Xiaomiはリチウムイオン電池の容量を10%向上できる技術を最近発表しました。

 
 
Source: ソフトバンク, Apple, ベイサン
(ハウザー)

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