中国メーカー、GPUチップを発表~懐かしのImagination製GPUベース

InnosiliconのFantasy 1 GPU

InnosiliconのFantasy 1 GPU
 
SoC内蔵ではない単体のGPUチップを製造しているメーカーはNVIDIA、AMD、Intelと数えるほどしかありませんが、新たに中国メーカーが参入することがわかりました。
 
Innosiliconが発表した「Fantasy 1」には、昔からのiPhoneファンには懐かしいImagination製のGPUが使われています

5 TFLOPSの浮動小数点演算性能、160 GPixel/sのフィルレート

Innosiliconが発表したGPUチップ「Fantasy 1」は、5 TFLOPSの単精度浮動小数点演算性能と、160 GPixel/sのフィルレート性能を備えています。
 
デュアルGPUのバージョンもあり、この場合は10 TFLOPSの単精度浮動小数点演算性能と320 GPixel/sのフィルレート性能です。
 
NVIDIAのGeForce RTX 3090のフィルレートが193 GPixel/s、AMDのRadeon RX 6900 XTのフィルレートが288 GPixel/sですので、フィルレートに関しては悪くはないスペックといえます。
 
ただ、NVIDIAとAMDの単精度浮動小数点演算性能はそれぞれ35.6 TFLOPS/23.04 TFLOPSであり、人工知能(AI)処理などの用途ではFantasy 1の性能はあまり高くないようです。
 
Fantasy 1は7nmプロセスで製造され、後継製品のFantasy 2/3は5nmプロセスで製造される予定です。
 
価格や販売開始時期については明らかにされていません。

GPUのデザインは懐かしのImagination製ベース

InnosiliconはGPUを独自開発したわけではなく、Imagination製のGPUを使用しています。
 
ImaginationはiPhone7シリーズのA10チップまではAppleにも採用されていたGPUデザインメーカーであり、昔からのiPhoneファンの中には覚えている方も多いでしょう。
 
しかしながら、iPhone8シリーズ/iPhone XのA11 BionicからAppleが独自GPUに切り替えたため業績が悪化し、GPU以外の主力事業を売却していました
 
Innosiliconに採用されたのはImaginationのBXTと呼ばれるGPUで、両社は長期的な戦略的パートナーシップの構築をおこなうと発表しています。

 
 
Source: MyDrivers, Imagination via Notebookcheck
(ハウザー)

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この記事を書いた人

本職はSoCの設計者。このためPCやスマホのHW/SW両方に造詣が深く、その知見に基づいた記事を執筆している。スマホ歴はiPhone4→(Android)→iPhone XR→13 Pro。

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