巨大テック企業が法の“抜け穴”利用で買収報告義務を回避〜米規制当局が警戒

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    米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長は、Appleを含む巨大テック企業が“抜け穴”を利用して、同規制当局に報告せずに何百件もの買収取引を行っていたことを批判し、より一層厳しい監視の目を向けていく姿勢を強調しました。

    合法的に報告を回避

    巨大テック企業の数十億ドルにも上る大規模な買収劇はメディアで大きく報じられますが、それらは氷山の一角に過ぎません。
     
    俗に言う“GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)”とMicrosoftを対象とした、FTCによる広域調査の結果、規制当局への申告を完全に必要としない小規模な取引(3億6,800万ドル=約403億円以下)が、10年間で819件あったことが判明しました。
     
    FTCが申告義務を限定的にしている理由は、小規模な取引は独占禁止法に抵触する可能性は低く、すべての取引を監視することはコストがかかるとの判断に基づいています。
     
    しかしこうしたシステムを利用して、巨大テック企業がすべてを申告せずに済ませる“抜け穴”を模索してきたと、FTCのリナ・カーン委員長は指摘します。
     
    同当局は具体的な取引に言及していませんが、BloombergはFacebookを例として挙げています。画像ライブラリサイトGiphyの買収額は約4億ドル(約440億円)であったため、本来であれば報告基準を超えていました。しかしGiphyは買収前に投資家へ配当を支払って資産価値を下げたため、FTCへの報告は合法的に回避されることとなりました。

    抜本的な改革を強調

    カーン委員長は「この調査はビッグテックの買収戦略の組織的な特徴を明らかにしている」と述べ、警戒感を露わにしました。
     
    また、巨大テック企業が「反トラスト法の執行機関の管轄外である新興企業、特許ポートフォリオ、エンジニアリング人材の確保に、多くのリソースを費やしている」ことが判明したと指摘、企業が何の調査も受けずに買収を行うことを「不当に」許しており、現行法の抜本的な改革が急務であると述べました。
     
    すでにFTCは2020年2月、GAFAとMicrosoftの計5社に特別命令を出しており、2010年1月1日から2019年12月31日までの間に行われた買収や、現行法の報告基準に当てはまらなかったその他の取引に関する「条件、範囲、構造、目的」を説明することを求めています。
     
     
    Source:Bloomberg via AppleInsider
    (kihachi)

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