Apple TVの廉価版ドングル、開発放棄か〜関係者がTV+の方向性も明かす

    Apple TV 4K

    Apple TV 4K
     
    Appleが実質的なApple TVの廉価版である低価格帯ドングルの開発を放棄し、ストリーミングサービスであるApple TV+に注力していく計画であることが分かりました。

    GoogleやAmazonに対抗

    低価格帯のApple TVドングルとは、2018年に開発が噂されていたデバイスで、Google ChromecastやAmazon Fire TV Stickのように、テレビのHDMI端子に直接挿し込むタイプになると噂されていました。
     
    Apple TV HD(32GB)は17,800円である一方、Google Chromecast(第3世代)は5,702円、Amazon Fire TV Stickは4K対応モデルでも6,980円と低価格であることから、Appleもこれらに価格面で対抗し、Apple TV+の利用者拡大に繋げる戦略を持っていたと考えられています。

    内部で幹部同士の意見が対立

    しかしリーク系ニュースサイトThe Informationに関係者が明かしたところによると、Apple TV+の方向性やAppleブランドのあり方を巡って内部で考え方が対立し、最終的に責任者が同社を去る形でプロジェクトが放棄されたそうです。
     
    Apple TVに代わる新たな廉価ドングルの推進派は、当時ビデオ・オーディオマーケティング担当だったティム・トゥエルダール氏で、同氏はNetflixやAmazonで同様のプロジェクトを統括した経験から、低価格のテレビデバイスがあれば、ユーザーがApple TV+にアクセスするのがより手頃になると主張していました。
     
    一方でAppleフェローのフィル・シラー氏と、ワールドワイドマーケティング担当副社長のグレッグ・ジョズウィアック氏は、廉価デバイスのリリースによって、同社の主力であるプレミアム製品の評判を落とす可能性を指摘、利益率の低い安価なドングルを製造すべきではないと反対していたとのことです。

    Apple TV+は今後どうなる?

    The Informationは、Appleが2022年にApple TV+の新コンテンツの量を増やす方針で、週に1本以上、2021年の2倍以上のペースで新コンテンツを追加する意向だとする報告書についても言及しています。
     
    一方で、Appleの“秘密主義”がApple TV+の番組にも及んでおり、リリース前の番組の告知が消極的であることについて不満を抱く契約スタジオ幹部の存在も明らかにされています。また、マーケティングキャンペーンについても、新規加入者獲得のための広告なのか、それとも個別の番組の認知度を高めるものなのか、情報共有をしたがらないことについても疑問を抱くスタジオパートナーが少なくないそうです。
     
    またApple TV+には2021年、5億ドル(約550億円)以上のマーケティング費用が充てられていると推測されています。これはNetflixが2021年上半期に費やした11億ドル(約1,210億円)には及ばないものの、“余興”と言っても過言ではないストリーミングサービスに資金をこれだけ投下できる、Appleの体力を物語っているとも言えるでしょう。
     
     
    Source:MacRumors,The Information
    (kihachi)

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