世界の音楽ストリーミング利用者、巣ごもり消費で35%増。聴き方にも変化
Counterpoint Researchによると、2020年第1四半期(1月〜3月)における世界の音楽ストリーミングサービスの利用者は、新型コロナウイルスによるステイホーム期間の影響で、前年同期比で35%増加しました。Apple Musicは売上高シェアで25%を獲得し、Spotifyに次ぐ2位でした。
有料登録者数は3億9,400万人
調査会社Counterpoint Researchは、2020年第1四半期(1月〜3月)における世界の音楽ストリーミングサービス市場の動向についてレポートを公開しました。
総有料登録者数は3億9,400万人で、前年同期比で35%増加しています。この要因についてCounterpoint Researchは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、人々が家で過ごす時間が増えたことに加えて、新興成長市場で無料トライアル期間や料金引き下げといったプロモーションが展開された影響が大きいと分析しています。
サービスを試用したユーザーは有料登録しやすい
Counterpoint Researchのアナリスト、アブヒラシュ・クマル氏は、前年同期比35%という登録者数の伸びが、月刊アクティブユーザー数(MAU)の伸び率25%よりも大きいことを指摘し、無料で利用していたユーザーがより良いサービスを求めて有料会員登録しているためだろうと述べています。
この動向についてクマル氏は、ユーザーをサービスに引き込むのは難しいが、ユーザーは引き込まれた後は比較的簡単にアップグレードする傾向がある、とコメントしています。
Apple Musicはシェア25%で2位
サービス別の売上高シェアでは、Spotifyが30%でトップの座を維持しています。
2位がApple Music(シェア25%)、3位がAmazon Musicの12%、4位がYouTube Muscの9%などと続いています。
Spotifyは、比較的最近参入したインドで、年間サービスの料金を1,189ルピー(約1,700円)から699ルピー(約1,000円)へと大幅に引き下げる積極的なプロモーションが功を奏して、アジア太平洋地域で成果を挙げました。
Spotifyはこのほか、小さい子供を持つ世帯向けのSpotify Kidsや、ペット向けプレイリストといったユニークなサービスで市場を拡大しています。
Apple MusicはSNSとの連携を強化
Apple Musicは、新たに52カ国でサービスを開始し、6カ月間の無料トライアル期間を提供しているほか、iOS13.4.5ではApple MusicからInstagramやFacebookにシェアできる機能を追加し、ソーシャルメディアとの関わりを強化しています。このほか、アメリカなどでシェアの高いSamsung製テレビでの再生にも対応しています。
Amazon Musicは前年同期比104%と大きな伸びを記録しましたが、これは高音質サービスAmazon Music HDが90日間の無料トライアルサービスを提供した効果によるものとみられます。
人気ジャンルや使用デバイスに変化も
人々が通勤せずに家にいるようになったことから、好まれるジャンルの傾向にも変化がみられ、ニュース番組のほか、健康や瞑想に関連するポッドキャストの人気が高まっています。
音楽ストリーミングを聴くデバイスも、Car PlayやAndroid Autoからスマートデバイスやテレビへのシフトがみられました。
Source:Counterpoint Research
Photo:Apple
(hato)