米音楽管理団体、AppleやSpotifyなど業界全体を反トラスト法で訴える


 
AppleSpotifyなどの音楽ストリーミングサービス業界全体を相手取り、演奏や実演の権利を管理するパフォーマンス・ライツ組織(PRO:Performing Rights Organization)であるPro Music Rights(PMR)が訴訟を起こしました。

談合や陰謀で不当に締め出されたと主張

自分たちがライセンスを管理する楽曲に対してAppleがロイヤルティを支払わないとし、PMRは2019年12月に同社を訴えました。訴えによると、PMRは2018年6月にライセンス料を支払うようAppleに書簡を送ったものの、返事は決して前向きとは言えないものでした。PMRはSpotifyに対しても同様の訴訟を起こしています。
 
今回新たにPMRが起こしたのは、個別の音楽ストリーミング企業ではなく、業界全体を訴えるという大胆な試みです。申請された訴状には、AppleやSpotifyのほか、Amazon、Google、SoundCloudなどが挙げられており、いずれも「談合、協同あるいは陰謀によって、PMRを市場から締め出し、都合のいい価格に固定しようとした」とされています。
 
PMRによると、これは企業間の談合による市場独占を禁じた反トラスト法(米国ではシャーマン法)に抵触するものであり、自由競争や権利の侵害のみならず、音楽家や消費者の選択権を阻害する行為に他ならないとのことです。

PMRのシェアは全米3位

PMRは米音楽市場でのシェアで3位(7.4%)を占めており、管理する楽曲は200万曲以上と、かなり大規模な団体です。
 
Spotifyを相手取った先述の訴訟では、自社の管理する楽曲が不当に総計5億5,000万回以上再生されたとし、10億ドル(約1,050億円)の賠償金を支払うよう求めていることからも、その規模が分かるというものでしょう。
 
皮肉とも言うべきか、SpotifyもAppleを独占禁止法で訴えているだけに、しばらく音楽ストリーミングサービス業界は泥沼の訴訟合戦で混迷を極めそうです。
 
 
Source:AppleInsider(1)(2)
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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