LG Displayが高純度フッ化水素の国産化にめど〜Samsungも追随
日本が7月より対韓輸出を厳格化している高純度フッ化水素、フッ化ポリイミド、フォトレジストのうち、高純度フッ化水素についてLG Displayが国産素材で代替する見通しが立っていることが分かりました。
ひとまず国産化に成功
ディスプレイ業界を牽引する韓国企業のSamsungとLG Display(以下LG)は、日本の対韓輸出規制によって大きな痛手を被っています。日本が7月より対韓輸出を厳格化した高純度フッ化水素、フッ化ポリイミド、フォトレジストは半導体やディスプレイ生産に欠かせないものだからです。
先日Samsungが高純度フッ化水素の輸入を認められたように、ホワイト国の対象外となっても審査をパスすれば素材は入手できます。しかし、許可制となったことで以前のように素材をスムーズに確保できなくなったのも事実です。
そうした中、LGが韓国産の高純度フッ化水素で代替できる見通しが立ったことが分かりました。中央日報によると「生産量が充分ではないため、当分は日本産輸入を併行する方針」ではあるものの、すでに安定性テスト過程を終え、9月中にも生産工程に適用していく予定です。また、LGだけでなくSamsungもディスプレイ向けの代替品試験を行っているようです。
まだまだ問題は山積み
高純度フッ化水素が国産化できて問題解決、というわけにはいきません。生産量やコストを考えると、日本への依存度を減らすリスクヘッジとしての側面が大きいでしょう。
(※韓国の国別輸入先シェア。左から順にフォトレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド。フッ化水素は中国からも輸入できているものの、残り2つは日本への依存度が極めて高い)
Samsungにとっては、ディスプレイ向けだけでなく半導体向けのフッ化水素も必要です。半導体向けはディスプレイ向けよりも更に高純度の素材が求められています。また、DRAMやNAND用のフォトレジスト、Galaxy Foldの生産に必要なフッ化ポリイミドは規定に抵触しないため正常に輸入されていますが、半導体の受注生産を行うためのEUV用フォトレジストは規制の対象となっています。
EUV用フォトレジストについて、Samsungは全量を日本のJSR、東京応化工業(TOK)から調達しています。同じ水準のフォトレジストを国産化するためには1年以上を要するとされているため、関係者の中には「Samsungのファウンドリ業界進出を阻止するのが狙いではないか」とする見方もあります。
Source:Bloomberg,中央日報,朝鮮日報(Webキャッシュ)
Photo:YouTube-ARIRANG NEWS
(kihachi)