Appleを訴えた「iPhoneを探す」開発の元従業員、ジョブズ時代を懐かしむ

iPhoneを探す


 
iPhoneを探す」機能などの開発に携わったAppleの元従業員が同社を訴えた問題で、米カリフォルニア地裁がAppleの棄却要求を退けていたことが分かりました。元従業員の男性は正当な共同開発者として認められていないとして、Appleを訴えています。裁判所に提出した書類では、スティーブ・ジョブズ氏時代のAppleを懐かしむ記述もあり、変わってしまった社風に対する違和感も訴訟のきっかけとなったことが示唆されています。

特許に自分の名前がないのは名誉毀損

Appleの元従業員であるダーレン・イーストマン氏は、「iPhoneを探す」やPassbook(iOS9で「Wallet」アプリに統合)といった機能の開発に携わった人物です。同氏は18年8月、前述の機能に関係する計5つの特許に自分の名前が含まれていなかったことを不服とし、Appleを訴えていました。
 
これに対してAppleが異議申立てを行った結果、裁判所はイーストマン氏の主張が内容不十分であるとして、同社の言い分を認めました。このまま棄却に至るかと思われましたが、同氏は訴状を補正、自身のメモとAppleの特許資料を比較した大量の書類を裁判所に提出し、改めて審査を要求していました。
 
Apple側は、先行技術であることやイーストマン氏が示した概念の無効性、同氏のメモが個人的なものであったことなどを挙げ、同氏の名前を関連特許に掲載しなかったことは名誉毀損に当たらないと主張しました。しかし再審査の結果、裁判所は同社の棄却要求を退けました。
 
とはいえ、棄却要求が退けられたことはAppleの敗訴を意味するわけではありません。裁判はこれから始まります。また、訴訟を起こしたことによって「複数の元従業員や現職の従業員から、同様の仕打ちをAppleに受けたとする連絡があった」とも同氏は述べており、今後はAppleにとって混迷が待ち受けていそうです。

ジョブズ時代が懐かしい

興味深いことに、イーストマン氏は裁判所に提出した書類の中で、ティム・クック氏が最高経営責任者(CEO)になってAppleは変わってしまったと嘆いています。
 
スティーブ・ジョブズ氏がAppleを率いていた時代は、同社とイーストマン氏の間に信頼関係があったそうです。高い品質を追求していたジョブズ氏は「何時だってAppleのために働け。そうすれば必ず仕事は用意される」とし、直々にイーストマン氏へ問題解決を頼むことも珍しくありませんでした。
 
しかしティム・クックCEOになってからというもの、Appleから品質を徹底追求する姿勢は失われていったのだそうです。イーストマン氏は「えこひいき、品質を蔑ろにするための努力」が社内で蔓延し、「法律を無視し税金を最小限に抑え込む」ことがAppleの最大目標になってしまった、と述べています。
 
なお、こうした“恨み節”はイーストマン氏に限らず、往年のAppleを知る人物が口々に話す内容でもあります。2017年には元エンジニアの「スティーブ・ジョブズ氏亡き後のAppleは良くも悪くも組織立ってしまい、ダイナミックさが失われた」といった発言が大きな話題となりました。
 
 
Source:The Register(1),(2),AppleInsider
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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