Huaweiの独自OS「HongMeng」はどうなるのか~幹部が相次いで慎重発言

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Huaweiが独自開発しているOSのHongMeng(鴻蒙)は、米政府による対中貿易制裁の中で注目を集めており、Googleが開発するAndroidの対抗馬になるとの勇ましい見方も存在します。しかし、Huaweiは必ずしも強気な態度一辺倒ではありません。むしろ、このところHongMengの導入に対して慎重な発言が目立ちます。

幹部が相次いで慎重な発言

中国深センで開いた記者会見でHuaweiのリン・ファ(梁華)会長は12日、Huaweiとその関連企業が米政府の輸出規制リスト入りしたにもかかわらず、2019年上半期の売り上げが増加したと明らかにしました。
 
その一方で「今後スマートフォンOSとしてHongMengを開発するかどうかは決めていない」とコメント、引き続きAndroid OSを最良の選択肢とするとの判断を示しました。
 
これは仏メディアLe Pointによる、創業者かつ最高経営責任者(CEO)のレン・ジェンフェイ(任正非)氏へのインタビューに呼応したものだと考えられています。
 

皆が考えているのとは異なり、HongMengはスマートフォン向けにデザインされていない。我々はGoogle(Android)に取って代わるOSを開発していなかったし、GoogleがHuaweiからOSを引き払うとなれば、エコシステムの構築から始めなければならないだろう。我々は未だに明確なプランを有していないからだ。

勇ましい態度も目立つ

「開発していなかった」と過去形なのがポイントですが、彼ら2人の発言からは、HongMengを自社スマートフォンOSとして積極的に採用するつもりがHuaweiにないことが読み取れます。それどころか、Googleとの関係が失われた場合、Huaweiは為す術がないとでも言わんばかりです。
 
しかし、その一方でコンシューマー・ビジネス部門のリチャード・ユー最高経営責任者(CEO)は中国国内で5月、HongMengが2012年から開発されており「早ければ今秋、遅くとも来春には利用可能」となるばかりか、「AndroidアプリやWeb上の全アプリと互換性を持つ」「Androidアプリを再コンパイルすれば、パフォーマンスは60%以上改善する」と高らかに宣言しています。
 
中国政府系メディアの環境時報も6月、複数の巨大IT企業や国内スマートフォンベンダーとHuaweiが提携し、挙国一致でHongMeng開発に取り組んでいると大々的に報じています。

同じインタビューでも国内外で扱い真逆

お手上げ発言と強気の発言が入り乱れる様子からは、駆け引きに奔走するHuaweiが浮き彫りとなってきます。
 
対外的には大人しいポーズを見せて猶予や譲歩を引き出し、対内的には国威発揚を狙う政府に目配りする――とは考え過ぎかも知れません。
 
しかし、先述したレン・ジェンフェイCEOの仏インタビューについて、中国の大手ニュースサイト新浪科技は「任正非が仏メディアの取材を受ける:HuaweiのOSはAndroidより60%速いだろう(任正非接受法媒専訪:華為操作系統将比安卓速度快60%)という勇ましい見出しで報じています。
 
実際には記者の「HongMeng OSはGoogleのAndroidやAppleのMac OS Xより速いかどうか」との質問に対し、慎重な態度で「比較したことはないが、多分そうだろう」と答えただけなのですが、この事例一つとっても、Huaweiが国内外の温度差に苦慮していると感じずには居られません。
 
ちなみに、米メディアForbesは同じインタビューを引用し「Huawei OSショック:HongMengはスマートフォン向けとしてAndroidの代替にならない(Huawei OS Shock: ‘No HongMeng Android Alternative For Smartphones’)と、新浪科技とは真逆の扱いで報じています。
 
Source:Forbes,新浪科技,Bloomberg
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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