スペイン・プロリーグの公式アプリ、ユーザー音声や位置情報を取得で罰金25万ユーロ

スペインのプロサッカーリーグLaLiga(リーガ・エスパニョーラ)の公式アプリがユーザーの音声や位置情報を収集していた件で、スペイン当局が250,000ユーロ(約3,050万円)の罰金を科したことが分かりました。
無断上映の対策で搭載した機能
問題となったのは、LaLigaの公式アプリに埋め込まれていた無断上映対策の機能です。無許可の試合中継放送は、プロリーグ側にしてみれば興行が成り立たないため、死活問題となっています。
そこで彼らが考え出したのは、アプリを通して周囲の音声をスマートフォンのマイクで記録し、LaLigaが中継している試合音声かどうかを判別する仕組みです。
マイクで音声を拾って、データベースと照合するといったメカニズムは、すでに「Shazam」や「SoundHound」といった音楽検索アプリに使われており、そこまで珍しいものではありません。
LaLigaが流すストリーミング動画で試合を観戦しているとアプリが判定した場合、今度はユーザーの位置情報を入手する仕組みが起動します。位置を特定することで、その場所が許可を得て中継を放送しているかどうかを調べるためです。
LaLiga側は「規約に書いてある」と反論
スペインのデータ保護機関(AEPD:Agency for Data Protection)は、こうした公式アプリの挙動がユーザーのプライバシーを侵害するものであり、EUの定めるデータ保護規定などに反すると判断、LaLigaに対して250,000ユーロ(約3,050万円)の罰金支払いを命じました。
6月30日までにアプリを取り下げるようAEPDは要求していますが、これに対してLaLiga側は「アプリの挙動は規約に記載している」と反論、音声解析についても「情報の0.75%しか保有せずに残りの99.25%は破棄するため、そこから声や人間の会話を読み取ることは不可能だ」と述べています。音声情報は英数字の文字列コード(ハッシュ)に変換されるため、大元の音声を再現することもできません。
とはいえ、1,000万回以上ダウンロードされた人気アプリとあって、影響力が甚大なことは言うまでもありません。何より、LaLigaの言い分に正当性があったとしても、それにユーザーが納得するかどうかは別の話です。
Source:iPhone Hacks,TorrentFreak,THE VERGE
(kihachi)