ニセのiPhoneを「故障した本物」と偽りApple相手に荒稼ぎした男性、有罪が確定
米オレゴン州で中国人留学生が模造iPhoneを本物と偽って新品と交換し、約1,500台のiPhoneを不当に入手して利益を得ていた事件で、犯人が罪を認めたことで有罪が確定しました。
中国に住む母親も犯行に加担
オレゴン州に住む中国人留学生2人組が、中国から精巧な模造iPhoneを輸入しては「電源が入らない」とAppleにクレームを入れ、保証プログラムを利用して本物の新品と交換していた期間は、2016年1月~2018年2月と2年超に及びます。その間Appleへ引き渡された模造iPhoneは3,069台、Appleが本物と交換してしまったのは1,493台でした。Appleの被害総額は895,000ドル(約9,840万円)と見積もられています。
その後、国土安全保障省の調査チームと米連邦地検が裁判所に提出した資料から、事件の詳細がさらに判明しました。
主犯格のチュアン・ジアン被告は香港から1度に20~30台ずつ輸入し、様々な偽名を駆使してニセの端末をAppleに引き渡していました。クレームに「電源が入らない」を選んだのは、この理由ならAppleの担当者が原因分析や修理に手間取ると踏んだからでした。入手した本物のiPhoneは中国に送り、現地の協力者を通じて転売、稼いだ資金は実の母親を通してジアン被告の銀行口座に入金させていました。
Appleは犯人を泳がせていた?
興味深いことに、2017年6月の時点でAppleが“異変”に気づき、法務部を通してジアン被告に2度も警告文書(停止通告書)を送っていたことも新たに発覚しました。また、彼が模造iPhoneを輸入していたことも同社は把握していたそうです。つまり2017年6月以降は、犯人の手口に気づいていながらあえて交換に応じていた可能性もあります。
Appleの狙いはともかく、“親切な警告”をジアン被告が無視した代償は大きく、今回の事件で米連邦地検は彼に対し、懲役3年とAppleに対して最低20万ドル(約2,200万円)の弁済を求刑するだろうと考えられています(最大で懲役10年に加え、200万ドルもしくは得た収益の2倍の罰金)。有罪はすでに確定しており、最終的な判決は8月28日に下される予定です。
ちなみにBloombergによると、ジアン被告は高級車メルセデスベンツのCLA 250クーペを乗り回していたとのことです。残念ながら手放す羽目になるでしょう。
Source:Bloomberg,Engadget
(kihachi)