「Siriの利用が性差別主義者を増やす」国連の専門機関UNESCOが報告書公開
iPhoneのSiriなど、音声アシスタントの利用が、女性差別を助長し固定化している、との報告書をUNESCO(国際連合教育科学文化機関)が発表しました。音声が女性であることが「女性は従属的な存在」というジェンダーバイアスにつながると指摘しています。
ユーザーの横柄な命令にも従順な「女性」アシスタント
UNESCOのジェンダーバランスに関する研究グループ「EQUALS」が公開した報告書のタイトル「I’d blush if I could(私が赤面できたら、しています)」は、性的な質問をされた時のSiriの回答から借用したものだそうです。
報告書は、Siri、Googleアシスタント、Amazon Alexa、Microsoft Cortanaといった、人工知能(AI)を活用した音声アシスタントの声は、女性しか選べないか、初期設定が女性となっている、と指摘しています。
そして、ユーザーからのぶっきらぼうな質問や命令に、AIアシスタントが丁寧に回答することで、「女性は世話好きで、従属的で、おもてなしの心を持った補助的存在」というジェンダーバイアスを強化している、と主張しています。
子供たちにジェンダーバイアスを植え付ける可能性も指摘
EQUALSは、AIアシスタントの音声が女性であることは、子供たちが「女性の役割は要求に応じること」というジェンダーバイアスを無意識のうちに持ってしまう原因になる、と述べています。
また、AIアシスタントが普及することで「女性はアシスタント」というジェンダーバイアスが無意識のうちに植えつけられてしまう、との懸念を表明しています。
また、ユーザーからのセクシャル・ハラスメント発言を、AIアシスタントたちは軽妙な冗談でかわしており、ユーザーの不適切な発言に対してネガティブな反応を示すものはなかったことも、女性への偏見や差別を増強する影響がある、と指摘しています。
一部の言語ではSiriは男性がデフォルト
報告書は興味深いことに、アラビア語圏、フランス語、ドイツ語、イギリス英語では、Siriの音声が初期設定で男性であることを紹介しています。
ちなみに、2017年に米インディアナ大学が実施した調査では、音声アシスタントの声として心地よく感じるのは、男性も女性も「女性の声」だった、との結果も出ています。
2011年にSiriがデビューした時、アメリカ版Siriの声を担当した「中の人」、スーザン・ベネットさんは2017年のインタビューで収録当時のことを語り、「Siriが話す内容に、声優は何も関与していません。会話の内容はすべて、プログラマーによるものです」と明かしています。
日本語でもSiriの声を男性に変更可能
日本語では、Siriは初期設定で女性の声で話しますが、男性の声に変更することができます。
iPhoneやiPadでは、「設定」アプリで「Siriと検索」>「Siriの声」で男女を切り替えることができます。
Macでは、「システム環境設定」>「Siri」から「Siriの声」を変更可能です。
Source:I’d blush if I could via 9to5Mac
(hato)