Facebookは広告主にユーザーの「影の」アドレス帳情報を提供している

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FacebookなどのSNSを利用していると、妙に自分の趣味にあっている広告が目に入ることがありますが、なぜその広告が表示されるのか、不思議に思うことはないでしょうか。
 
米メディアGizmodoのライター、カシミール・ヒル氏がその理由に迫るとともに、Facebookがさまざまな方法でユーザー情報を収集、広告主に提供しているという事実を公開しています。

ターゲット広告とは

FacebookとInstagramは、広告主が、自分の顧客の電話番号やメールアドレスのリストをアップロードすることを認めています。その情報とFacebookユーザーの情報が一致すると、各ユーザーにターゲット広告が表示されます。
 
自分のFacebookプロフィールに掲載している基本的な連絡先情報や、アカウントと連係している個人情報は、こうした広告に利用されても仕方がないと思っているかも知れません。しかし実際には、ユーザーが「提供したつもりのない」情報も、マーケティングに利用されているのです。

セキュリティのためにプライバシーが犠牲に

米ノースイースタン大学と米プリンストン大学の研究者らが、Facebookにテスト用アカウントを複数設け、連絡先情報が広告主によってどのように利用されるかの実験を行いました。
 
まず、2ファクタ認証やセキュリティのためにFacebookに提供した電話番号が、数週間以内に広告主のターゲットとなっていることがわかりました。つまりユーザーは、自分のアカウントの安全性を高めるのと引き換えに、プライバシーを犠牲にしているということです(現在Facebookは、2ファクタ認証のための電話番号登録の義務化を停止しています)。

影の連絡先情報

次にユーザーAが、これまでに一度も使用されたことのないユーザーBの電話番号を含むアドレス帳情報をFacebookと共有したところ、広告主は約1カ月後にこの電話番号(ヒル氏はこれを「シャドウ・コンタクト・インフォメーション(影の連絡先情報)」と呼んでいる)を利用して、Bにマーケティングを仕掛けてきました。
 
しかしFacebookによれば、BはAのアドレス帳にはアクセスできないので(Aのプライバシー侵害となるため)、自分の電話番号をAのアドレス帳から削除できないだけでなく、広告主のリストからも削除できません。
 
研究者らはこの実験の結果について、Facebookのターゲット広告に使われている情報は「ユーザーから直接提供されていないばかりか、(その事実は)ユーザーにすら明かされていない」とまとめています。

「どのユーザーにどの広告を表示するかを細かく指定できる」

研究者らはさらに、ノースイースタン大学の数百件にも及ぶ固定電話のリストをFacebookにアップロードするという実験を行いました。これらは同大学で働く人々の職場の電話番号であるため、Facebookユーザーのアドレス帳に掲載されているケースは非常にまれです。
 
実験の結果、これら電話番号の多くが数週間後に広告のターゲットとされました。また研究者らが実験のためにFacebookで広告キャンペーンを行うと、上記の固定電話のリストに電話番号があった人々のFacebookページに、広告が表示されました。広告を見た人々は、自分のFacebookアカウントに職場の固定電話の番号は掲載していません。
 
ノースイースタン大学コンピューター・サイエンス学部のアラン・ミスラブ准教授は、次のように述べています。
 

多くのユーザーはターゲティング広告がどのように行われているのかきちんと理解していない。広告主はユーザーのメールアドレス、電話番号、氏名と誕生日などの情報をアップロードして、どのユーザーにどの広告を表示するかを細かく指定できる。
(中略)
そしてこれを行っているのはFacebookだけではなく、Google、Pinterest、そしてTwitterも、みな同様のサービスを提供している

 
 
Source:Gizmodo
Photo:Pixabay
(lunatic)

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この記事を書いた人

元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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