お騒がせ陰謀論者のアレックス・ジョーンズ氏、App Storeからも永久追放

世界中に情報を発信できる現代において、ヘイトスピーチを行うユーザーのみならず、彼らにプラットフォームを提供する企業も問題視されるようになってきました。Appleは7日、“排外主義的な陰謀論”を唱えているとされるアレックス・ジョーンズ氏のアプリ「Infowars」を削除しました。
過去には実害が及んだことも
アレックス・ジョーンズ氏はマイノリティーに対する容赦ない批判で知られるほか、2001年に起きた同時多発テロや2012年の銃乱射事件が陰謀によるものだと主張している人物です。
こうした主張の一つには、ワシントンDCに実在するピザ屋が児童売春の温床となっており、ヒラリー・クリントン氏が加担しているというものも含まれ、真に受けた男性が「独自調査」と称して店舗をアサルトライフルで襲撃する事件まで起こりました。
複数のテクノロジー企業が相次いでBAN
時には実害が及ぶ彼の影響力を、メディアが問題視するようになった結果、2018年7月頃からYouTubeやFacebook、Spotify、Pintrestといったプラットフォーム企業が次々と、アレックス・ジョーンズ氏の排除に乗り出します。
例えばSpotifyは、イスラム教徒や性的マイノリティの排除、児童虐待といった内容を含む同氏のポッドキャストが「ヘイトコンテンツに関するポリシーに違反している」とし、2018年8月に対象となる番組の削除を行っています。
AppleによるApp Storeからのジョーンズ氏追放も、こうした一連の流れに乗ったもので、ストアのガイドラインに違反することを理由に「Infowars」アプリを削除したうえで、同氏の永久追放を行ったことを明らかにしました。
Apple Storeのガイドラインは以下の通りです。
アプリケーションに不適切なコンテンツ、不快なコンテンツ、無神経なコンテンツ、動揺させるコンテンツ、嫌悪感を与えるコンテンツ、極めて悪趣味なコンテンツを含むことはできません。― 1.1 不適切なコンテンツ
また、Appleと時を同じくして、Twitterもジョーンズ氏のアカウントを永久凍結したことが分かっています。
介入すべきか否かの議論はあるが
2016年当時、大統領選に出馬していたドナルド・トランプ氏は、ジョーンズ氏のラジオにゲスト出演し「あなたの名声は素晴らしい。私でも敵わないよ」と称賛しましたが、世の中は現大統領と同じようには思っていなかったようです。
「プラットフォームを提供する企業はユーザーへ不用意に介入すべきでない」という反論が思いつくかも知れません。あるいは、もっと踏み込んで「特定の政治的主張を不適切だからと排除すべきでない。不適切の基準が曖昧だ」と言えるかも知れません。
しかし、ユーザーの自由を尊重した結果、大規模なバッシングやユーザー離れによるイメージダウンが起き、プラットフォーム運営の危機、ひいては株価の下落に見舞われては、私企業にしてみれば元も子もないでしょう。
Source:THE VERGE,mashup NY,CNBC,NEW YORKER,Appleガイドライン
Photo:Infowars
(kihachi)