株主ではなく低賃金労働者に利益還元を~米政治家、Appleに訴え

    ティム・クック

    ティム・クック
     
    Appleが先日、自社株買いに1,000億ドル(約11兆円)を充てることで株主への還元を図ると発表したことについて、著名な米政治家にして運動家のラルフ・ネーダー氏が「還元すべき対象が違う」と、同社に対して公開書簡を送っていたことが分かりました。

    第1四半期では過去最高益に

    iPhoneの需要減速によってAppleの売り上げが削がれるというアナリストの悲観的な見通しとは裏腹に、Appleは2018年第1四半期(1~3月)において、同四半期としては過去最高の138億2,000万ドル(約1兆5,200億円)の利益を記録しました。
     
    こうした事情を受けて、Appleは5月初旬、1,000億ドル相当の自社株買いを行うとともに、四半期配当を16%増配すると発表しました。

    Foxconnの従業員にボーナスを

    しかし、このAppleの決定に疑問を投げかけたのが、米政治家のラルフ・ネーダー氏です。
     
    Appleに宛てた公開書簡でネーダー氏は「過去最大級の自社株買いを取締役会が決定したことについて、株主は何の説明も受けていない」とティム・クック最高経営責任者(CEO)を批判するとともに、1,000億ドルの2%もあれば、350,000名にのぼるFoxconnの従業員に報奨を与えることもできたのではないか、と述べています。
     
    ネーダー氏に言わせれば、「莫大な富のために、好ましくない労働環境で働いて汗を流し」「自分たちが作るAppleの携帯(iPhone)を買うこともできない」労働者にボーナスを提供することは、言わずもがな彼らにとって「経済的解放であり幸福」にほかなりません。
     
    ほかにも「アフリカの危険な鉱山から有害固形廃棄物にいたるまで、貴殿の会社の有害なサプライチェーンがもたらす影響を根絶するための研究開発に投資することだってできるでしょう。製品の製造に関係する深刻な病気やケガだって防げるでしょう」と、株主やさらなる利益の増大ではなく、Appleは研究開発の方向性も見直すべきだ、と同氏は書簡で訴えます。
     
    こうした行為が巡り巡って、世間からポジティブな反応をAppleが受けることに繋がるのではないか、というのがネーダー氏の考えです。

    批判は的を射た内容なのか?

    もっとも、これだけを採り上げて、Appleの姿勢を批判するのはお門違いかも知れません。
     
    今回の自社株買いよりも前、Appleは3,500億ドル(約38兆5,000億円)の投資を通してアメリカ経済に還元するとも発表しています。これは今回の自社株買いの3倍以上の額です。
     
    また、サプライヤーの労働環境問題についても、Appleが長らく改善に向けて取り組んでいるのは知られたところです。
     
     
    Source:9to5Mac
    (kihachi)

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    丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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