バックドアをiPhoneに搭載は「ナンセンス」〜改めてApple副社長が強調

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人のスマートフォンをみだりに覗いてはいけない――たとえ、それが捜査の手がかりとなる犯人の端末だとしても。Appleを中心として、テクノロジー企業はこうした見方を採るところが少なくありません。しかし、政府当局はユーザーに提供する端末に対しバックドア(侵入するための裏口)を設けるよう、日に日に圧力を強めています。

バックドアはAppleにとってナンセンス

Appleでソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長を務めるクレイグ・フェデリギ氏に言わせれば、バックドアをスマートフォンに搭載するなどという要求は、まさに「ナンセンス」にほかならないそうです。
 
バックドアを設けることによって、デバイスのセキュリティは大幅に低下します。米メディアNew York Timesのインタビューに対し、

消費者のデバイスデータに通じるキーを、彼ら以外に明け渡せという提案は、新たな、そして危険な脆弱性を製品のセキュリティに生むこととなる。個人的なデータを安全なものにしておきたいと考え、消費者が我々の製品を頼るという状況を考えれば、セキュリティの弱体化はナンセンスだ。

とフェデリギ氏は、政府の動きを一刀両断。セキュリティを弱体化するのではなく、むしろプライバシーのために強化すべきだと強調しました。
 

apple cm プライバシー

iPhone乗り換えを促す、AppleのCM。Appleにとって「プライバシー」は強みだ


 
事実、仮にバックドアが設けられたとして、それを利用したいと考えるのは、「良心的な政府当局」だけではありません。悪意あるハッカーもまた、個人のスマートフォンから情報を抜き出そうと画策しています。そうしたハッカーにとって、スマートフォンに対するバックドアの搭載は“渡りに船”以外の何物でもないでしょう。
 
ただしテクノロジー企業のなかには、BlackBerryのジョン・チェン最高経営責任者(CEO)のように「Appleのプライバシー保護はやりすぎだ」という見方を採る向きもあります。

すでにバックドアなしでも解除は可能

もっとも、わざわざバックドアを設けずとも、すでにiPhoneのセキュリティを突破する仕組みは完成しているとも言えるでしょう。
 
2015年に発生した銃乱射事件の犯人が所有していたiPhone5cのロック解除に関わったとされるCellebriteは、iOS11搭載のiPhone Xを自分たちの技術で突破できると発表していますし、元Apple従業員がエンジニアを務めるGrayShiftも、特殊な装置「GrayKey」でiPhone Xのロック解除が可能であるとしています。このGrayKeyについては、アメリカの州警察や司法省、FBIなどが購入済だと見られています。
 
 
Source:NYT
Photo:YouTube
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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