Apple、電子書籍でAmazonに再び挑戦

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    複数の出版社と共謀し、電子書籍の価格を釣り上げたとして独占禁止法違反で訴えられてからというもの、停滞気味だったApple電子書籍事業ですが、2021年の年間売上500億ドル(約5.44兆円)の目標に向け、Appleは再び業界大手のAmazonにチャレンジすることが報じられています。

    反トラスト法違反で訴えられ、挑んだ裁判で敗訴

    Appleが反トラスト法(独占禁止法)違反でアメリカ合衆国司法省に訴えられたのは2012年のことです。
     
    問題視されたのは、Appleと出版大手5社が結んだ「エージェンシーモデル」と呼ばれる、出版社がAppleオンラインストアでの電子書籍の販売価格を自由に決定できるという契約だといわれています。
     
    アメリカでは、小売店が価格を設定する「ホールセールモデル」が通例ですが、Amazonでも同モデルが当時採用されていました。
     
    Appleと出版社の間で結ばれたエージェンシーモデルにより、Appleオンラインストアでの電子書籍の販売価格が高めに設定されたことで、Amazonで販売されていた電子書籍の価格が軒並み値上げされるという現象が起こりました。
     
    この突然の価格変動を司法省が重く受け止め、2012年4月に「Appleと出版社の行為が価格操作にあたり、独占禁止法に抵触する」として、Appleと、同社とエージェンシーモデル契約を結んだ出版5社を訴えました。
     
    司法省と和解した出版社とは反対に、戦うことを選んだAppleは、2015年6月末の控訴審で敗訴し、4億5千万ドル(約550億円)の罰金を支払うことになったわけです。

    低迷していた電子書籍事業を再び押し出す姿勢

    Appleの電子書籍市場でのシェアは、2015年の11%から後退しており、2017年2月時点でわずか9%となっています。それを尻目に、Amazonは順調に売上を伸ばしており、2015年の市場シェア74%から、2017年には83.3%へと勢力を広げています。
     
    裁判に敗訴してからというもの、Apple Musicなど他のコンテンツ事業にフォーカスしてきたAppleですが、2021年の年間売上500億ドルに向けて、再び電子書籍を押し出す構えを見せているようです。
     
    数カ月以内にも新しい電子書籍アプリがリリースされるといわれており、iOS11で新しくなったApp Storeのような、よりシンプルで見やすいインターフェースになると噂されています。アプリの名前はiBooksではなく、単純に「Books」になるようです。
     
    Appleは電子書籍事業の加速に向けて人材確保も行なっており、最近になってAmazonのオーディオブック事業Audibleのヴァイスプレジデントを務めたカシフ・ザファー氏を雇い入れています。
     
     
    Source:Bloomberg
    Photo:iPad Apps Buzz
    (lexi)

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    この記事を書いた人

    ARラボ出身の猫愛好家。往年のMacユーザーで、iPhone使用歴は10年以上。

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