Apple、ネット中立性違反を調べるアプリをApp Storeから排除していた

インターネット上のコンテンツを平等に扱う、いわゆる「ネット中立性」を守るためのアプリが、AppleのApp Storeから締め出されていることがわかりました。
キャリアのネット中立性違反を調べる「Wehe」
アメリカ・ノースウェスタン大学の研究者、デビッド・コフネス氏が開発した「Wehe」は、YouTube、Amazon、NBCSports、Netflix、Skype、Spotify、Vimeoの7つのアプリにおけるダウンロード速度を調べることを目的とした単純なアプリです。米メディアMotherboardがiOSアプリのベータテストが行える「TestFlight」を使い、Verizonで測定したところ、以下のような結果となりました。
コフネス氏によれば、赤字の「Differentiation(差別化)」というのは、Verizonがダウンロード速度をあえて調整している、という意味だそうです。つまりネット中立性に違反していることになります。
こうした情報が出回れば、消費者が別の通信キャリアに切り替えたり、訴えたりする可能性が生じます。「Wehe」はネット中立性を守るだけでなく、消費者に有益な情報を提供してくれるアプリの「はず」です。
App Store、Weheの申請を却下
ところがコフネス氏が、WeheをApp Storeで配布するための申請をしたところ、却下されました。
もともとこのアプリは、インターネットプロバイダによるアプリごとのパフォーマンスの違いを調査することを目的としており、アプリを開くと「リサーチプロジェクトに参加してください」という文字と同意書が表示されます。
却下の理由としては、アプリが「キャリアがネット中立性に違反していないかどうかをチェックする手段として宣伝されている」点がユーザーに誤解を与え、「調査に参加するユーザーに直接的な利益をもたらさない」と記されていたとのことです。
アメリカでは昨年11月、米連邦通信委員会(FCC)がネット中立性に関する規制を撤廃する方針を固め、大きな話題となりました。多くのIT企業はこれに反対しており、Appleも反対陣営に名を連ねています。
Source:Motherboard
Photo:Pixabay
(lunatic)