AppleのHomePodがAmazon Echoより3年遅れた理由

Appleは先日、同社初のスマートスピーカーHomePodの発売を、当初予定していた年内から来年初頭へと遅らせることを明らかにしました。BloombergによればHomePodの開発プロジェクトは、実は約5年前からスタートしているのだそうです。
よりよい音のスピーカー開発プロジェクトとして
BoseやJBLなどのハイエンドスピーカーよりもいい音のスピーカーを作りたいという、Macのオーディオ技師たちがサイドプロジェクトとして立ち上げたのがHomePodでした。Appleでは日常業務さえこなしていれば、自分の好きなプロジェクトを並行して進めることはむしろ推奨されています。
プロジェクトは中止と再開を何度か繰り返し、開発から2年が経過した頃、ようやく正式なコード名(B238)を与えられ、AirPodsを開発したのと同じアクセサリー部門に加えられます。
Appleの技術者らは大学の寮、居間、ワンルームで仕切りのないアパートなど、さまざまな空間を想定して実験を重ね、2016年には世界各国のApple Storeの従業員に依頼し、テストを行いました。
HomePodはあくまで「アクセサリー」
こうしてAppleが試行錯誤を重ねている間に、Amazonが2015年、Echoを発売します。Echoはスピーカーと呼ばれていますが、その中心機能は音声アシスタントのAlexaです。2011年にデビューしていたAppleのSiriは、音声認識ではAlexaにかなり先行していたものの、Siri開発チームはHomePodについて、あくまで音楽と音質がメインのスピーカーであり、パーソナルアシスタントではない、と告げられていたとのことです。
つまりAmazon Echoが最初から音声認識をメインとし、家庭内のさまざまな機器の操作の中心となるハブとして位置づけられていたのに対し、HomePodはあくまでiPhoneの延長線上にあるアクセサリーで、音質重視のスピーカーと考えられている、とBloombergは指摘しています。
音楽・音質重視のHomePod
AppleのWebサイトにおいても、HomePodは「Music」に分類されています。またその下に続く説明文も音楽の話が中心で、Siriで操作できるという説明は最後まで登場しません。

米AppleのWebサイト
来年発売予定のHomePodは、実にAmazon Echoから3年遅れることになります。台湾Fubon Securitiesのアナリスト、アーサー・リャオ氏は、2018年のHomePodの出荷台数について400万台と予測しています。一方CIRP LLCによれば、Amazonが2015年以降販売したEchoの台数は推定1,500万台です。
Source:Bloomberg
(lunatic)